研究課題/領域番号 |
20K07905
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
増田 曜章 熊本大学, 病院, 助教 (50464459)
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研究分担者 |
植田 光晴 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60452885)
安東 由喜雄 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (20253742)
大林 光念 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90361899)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小径線維ニューロパチー / アミロイドニューロパチー / 発汗機能 / 自律神経障害 / 皮神経 / 表皮内神経線維密度 |
研究実績の概要 |
研究計画2年目である2021年度は、Sudoscanでの発汗機能解析を特に重点的に行い、症例数を追加し検討した。健常人ボランティアに比べて、ATTRv患者では両手掌および両足底の皮膚電気化学コンダクタンスが低下していたが、V30M変異群と非V30M変異群の比較では、両群で障害度に差がなかった。このことからATTRvでは変異型によらず、発汗機能障害の解析が病態評価に有用であることが明らかとなった。さらに、起立性低血圧を認める群において発汗機能障害がより顕著であったが、起立性低血圧の重症度と発汗機能障害の重症度には差がなく、アミロイドニューロパチーでは発汗運動神経および血管収縮神経の障害度に差異があることが推測された。さらに、未発症TTR遺伝子異常保因者の検討では、健常人ボランティアと比べて、発汗機能が低下していなかったが、生検皮膚組織を用いた表皮内神経線維密度の解析では、未発症TTR遺伝子異常保因者の時点からすでに異常があり、小径線維の中でも表皮内感覚神経が先行して障害される可能性が考えられた。その他、pNF-Hなどの血清バイオマーカーの解析を行ったところ、pNF-Hが健常群に比べてATTRv群で有意に上昇していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Sudoscanによる病態解析に関しては順調に進展している。これまでの検討で本機器は実臨床に応用可能なアミロイドニューロパチーの病態を反映した非侵襲的かつスループット性の高い自律神経機能解析法であることが明らかとなり、さらに皮神経の病理組織学的解析法と組み合わせることで小径線維内の神経種ごとの障害度の評価も可能なアルゴリズムを作成できた。一方、皮神経脱落を反映する血清バイオマーカー探索では若干の遅れがでているため、次年度は本解析を中心に行い、さらに末梢神経障害をきたす他疾患との鑑別に有用かどうかまで検討する。これらの検討項目に関しては次年度に行うことで十分遂行可能である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究計画の最終年度であり、前年度までの研究を発展させる。特に病理組織学的変化 (皮神経障害)、神経生理学的変化 (発汗機能障害) を反映する血清バイオマーカーの探索を重点的に行う。また、各評価項目の縦断的解析も行い、各種評価法との組み合わせにより、定量性を持った(スコア化された) アミロイドニューロパチーのサロゲートマーカーを確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度からの繰越分を使用したこと、COVID-19の流行拡大により、対象者の病院受診の自粛などの影響、さらに免疫組織学的解析用の各種抗体および解析予定であった血清バイオマーカー探索用のELISAキットなど購入の一部を次年度に繰り越したため。繰越分は、次年度請求額と併せて使用する予定である。
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