研究課題
培養アストロサイトにおいて、非OGD(Oxygen-glucose deprivation: 無糖無酸素負荷)、OGD、OGD後マイクログリア培地(MCM)投与、OGD後P2Y1受容体拮抗薬治療、及びOGD後P2Y1受容体拮抗薬とMCM併用治療の5群間においてwestern blotで解析した。P2Y1受容体拮抗薬、及びP2Y1受容体拮抗薬とMCM併用治療によってOGDで発現上昇したGFAPやC3dは減少した。A2型アストロサイトのマーカーであるS100A10の発現は併用治療において有意に増加した。mRNAのトランスクリプトーム解析において、P2Y1受容体拮抗薬とMCM併用治療群では炎症系の遺伝子発現の低下があること、IPA解析によりMAPK/NF-κB/TNF-α/IL-1βシグナルが抑制されていることが示された。OGD群、OGD後併用治療群の培地からエクソソームを単離した。このエクソソームを脳梗塞peri-infarct areaに局所投与すると運動機能が改善することは2021年度で報告したが、免疫組織染色にて併用治療群由来エクソソームを投与した脳梗塞ラットの脳組織ではGFAP陽性活性化アストロサイトにおいてNF-κBやTNF-αの発現が低下することを確認した。同時に、軸索再生マーカーであるpNFHが発現上昇していることも見出した。このエクソソームを培養神経細胞にOGD後投与しても軸索再生は促進されなかった。一方で、TNF-α自体を培養神経細胞にOGD後投与すると軸索伸展は抑制された。このアストロサイト由来エクソソームにおいてExoviewで解析し、CD63やCD9の発現が上昇していることが確認された。以上から、併用治療群のアストロサイト由来エクソソームをperi-infarct areaに投与することでアストロサイトのNF-κBやTNF-αを制御することで、抗炎症作用を発揮し、エクソソーム自体には軸索再生促進作用はないものの、グリア瘢痕を制御することで軸索伸展に適した環境整備をする可能性があると考えられた。
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