研究課題/領域番号 |
20K07912
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
大澤 裕 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80246511)
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研究分担者 |
砂田 芳秀 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00240713)
西松 伸一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20222185)
藤野 雅広 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50633856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カベオリン-3 / 神経型No合成酵素 / 筋ジストロフィー / 筋肥大 / 筋萎縮 |
研究実績の概要 |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は筋細胞膜の裏打ち蛋白質であるジストロフィンの欠損により発症する。このジストロフィンが構成する巨大な糖蛋白複合体のうち、唯一の酵素であるnNOSは、DMDでは著明に減少するが、その筋ジストロフィー発症病態における役割の全容は未だに解明されていない。われわれは、独自に作出した筋ジストロフィーモデルマウスの解析から、nNOSの特定部位がリン酸化されることによって活性化し、筋芽細胞の筋管細胞への融合と筋再生を促進する、これまで知られていなかった分子機構を発見した(未発表)。本研究は、このリン酸化nNOSが、様々な筋ジストロフィー病態に対し抑制的に働くと仮説する。リン酸化部位を常時活性化させたnNOSを大量発現させた筋ジストロフィーモデルマウスを作出して、仮説を検証していく。2020年度は、骨格筋特異的プロモーター下にnNOSリン酸化部位をアミン酸置換により常時活性化したn相補DNAを繋いだトランスジーンを作製した。このトランスジーンを、野生マウス受精卵に注入して、トランスジェニックマウスを作出した。2021年度は、このnNOS常時活性化トランスジェニックマウスと、ジストロフィン欠損DMDモデルマウス、およびカベオリン-3欠損肢帯型筋ジストロフィーモデルマウス(LGMD1C)の交配によって、ジストロフィン欠損nNOS常時活性化マウス、カベオリン-3欠損nNOS常時活性化マウスの作出に成功した。2022年度それぞれのモデルマウス骨格筋とを比較解析により、筋ジストロフィー改善の有無を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は常時活性化したnNOSトランスジーンを作製して、野生マウス受精卵に注入しnNOS常時活性化トランスジェニックマウスを作出した。2021年度は既にジストロフィン欠損、およびカベオリン-3欠損筋ジストロフィーモデルマウスと交配し、F2世代でジストロフィン欠損nNOS常時活性化マウス、カベオリン-3欠損nNOS常時活性化マウスの作出に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、ジストロフィン欠損、およびカベオリン-3欠損nNOS常時活性化マウスと、対照となるジストロフィン欠損、およびカベオリン-3欠損マウスの骨格筋を比較解析する。骨格筋組織の改善、nNOS活性化を起点とした、骨格筋の遺伝子発現解析から、筋ジストロフィー病態野の改善の有無を検証する。これによりnNOS活性化が、様々な筋ジストロフィー病態に対し抑制的に働くのか否かを検証し、この分子を介した治療介入の可能性を探る方策とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、nNOS常時活性化トランスジェニックマウスと、ジストロフィン欠損、およびカベオリン-3欠損マウスを交配した。予想以上に順調に進捗して、F2世代でジストロフィン欠損nNOS常時活性化マウス、カベオリン-3欠損nNOS常時活性化マウスが容易に得られたため、経費節減が可能となり、2022年度以降の、マウス飼育費用、骨格筋解析に充てる方針とした。
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