研究課題/領域番号 |
20K07918
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
宇田川 潤 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10284027)
|
研究分担者 |
林 雅弘 宮崎大学, 農学部, 教授 (00289646)
岩崎 雄吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50273214)
内村 康寛 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90803990)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | プラズマローゲン / 合成 |
研究実績の概要 |
本年度はエタノールアミンプラズマローゲンの合成方法の検討のための予備実験として以下の研究を行った。 1.リゾリン脂質と脂肪酸を用いたホスファチジルエタノールアミン(PE)の合成 16:0リゾリン脂質とオレイン酸(18:1)を用いて16:0-18:1ホスファチジルコリン(POPC)および16:0-18:1ホスファチジルエタノールアミン(POPE)を合成した。カラムクロマトグラフィーによる精製の後、NMRおよび質量分析装置を用いて本合成物質がそれぞれPOPCとPOPEであることを同定した。 2.安定同位体標識多価不飽和脂肪酸を用いたPE合成方法の検討 安定同位体標識プラズマローゲンの原料として炭素13標識脂肪酸を得るために、海洋微生物ラビリンチュラを炭素13標識グルコース中で培養後、中性脂肪画分を抽出した。本画分に含まれる脂肪酸はほぼ炭素13標識パルミチン酸とDHAから成っており、現在検討中の反応系をPE合成反応にそのまま応用するとプラズマローゲンPEが合成可能と推測される。また、多価不飽和脂肪酸を含むPE合成の予備実験として、研究1と同様の方法を用いて16:0-22:6ホスファチジルコリンの合成を試みた。薄層クロマトグラフィーにより合成物質のスポットが標品(16:0-22:6ホスファチジルコリン)と同様の位置に検出され、さらに原料のリゾリン脂質のスポットがほぼ消失したことから、16:0-22:6ホスファチジルコリンが容易に収率良く合成できたものと考えられる。今後、NMRおよび質量分析により本合成物質の同定を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの蔓延により長期に研究活動が制限され、半年以上、実験が進まない状況にあったため。
|
今後の研究の推進方策 |
リゾリン脂質と多価不飽和脂肪酸の一つであるDHAとを原料にした16:0-22:6ホスファチジルエタノールアミンの合成、ならびにプラズマローゲン型リゾリン脂質とオレイン酸(18:1)、パルミチン酸(16:0)あるいはDHAを用いたプラズマローゲンPEおよびPCの合成方法の確立と収率向上を目指す。また、合成リン脂質のラットへの投与を行い、行動に対する作用が認められるリン脂質をスクリーニングする。さらに、これらの情報を基に、安定同位体標識高機能リン脂質を合成して脳内動態を調べる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍での研究活動の制限により、13C標識リン脂質のラットへの投与実験が行えず、次年度に当実験を行う予定である。したがって、2021年度は(1)ラットへの投与実験に十分な量の13C標識エタノールアミンプラズマローゲンなどの合成、(2)標識リン脂質のラットへの投与と行動試験、(3)行動解析結果を基にした高機能リン脂質のデザインと合成、(4)質量分析イメージングやMALDI-TOFMSを用いた安定同位体標識高機能リン脂質の脳内動態の解析に助成金を使用する。
|