研究課題/領域番号 |
20K07922
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
川勝 忍 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00211178)
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研究分担者 |
林 博史 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (00333956)
國井 泰人 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00511651)
小林 良太 山形大学, 医学部, 講師 (80643189)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症 / LATE / TDP-43 / アルツハイマー型認知症 / MRI / 神経病理 / 意味性認知症 / アミロイドPET |
研究実績の概要 |
本年度は、辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症(LATE)の臨床画像病理学的特徴を明らかにするために、以下の関連疾患の解析を行った。65歳以前の若年発症のアルツハイマー病(EOAD)12例の海馬・側頭葉のTDP-43病理の有無と海馬萎縮、グリオーシスの有無について検討した。EOADでは、TDP-43病理を伴うものは12例中0例であったが、いずれも海馬の萎縮があり、神経細胞脱落、グリオーシスは高度であり、神経原線維変化、neuropil threadsが豊富であり、タウ病理による海馬変性と考えられた。CTまたはMRIで側頭葉内側部の萎縮が目立ち剖検となった80歳代のLATEの5症例(いずれもTDP病理はタイプA)について合併病理について検討したところ、AD病理は4例、嗜銀顆粒病理が4例、レビー病理が2例で認められ、LATEではADだけでなく、嗜銀顆粒病やレビー病理についても着目する必要があることが示唆された。また、65歳以前の若年発症の意味性認知症(SD)5例(いずれもTDP病理はタイプC)では、海馬は比較的保持される一方で、側頭葉前部と下側頭回を中心に側頭葉の萎縮、変性が高度、加えてTDP病理は前頭葉、頭頂葉にもみられLATEより広汎であった。従って、若年発症ADでは、最終的に海馬は萎縮してもLATEとの関連性は低いこと、SDでもLATEに病変分布は類似するがより広汎でTDPタイプが違うこと示された。これらのLATE-ADの臨床病理学的特徴を画像診断にフィードバックしたLATEの臨床診断の検討を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のとおりに病理学的検討とともに、臨床例について、より多数例でのMRI撮影、神経心理学的検査などのデータを蓄積している。また、アミロイドPETを撮影できた例について、アミロイド蓄積の部位と程度について比較検討している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのわれわれの検討と最近のLATEに関する文献的検討から、LATEではAD病理との関係だけでなく、レビー小体型認知症(DLB)が関与したLATE-DLBおよびLATE-AD-DLBもあることが分かってきた。DLBの場合は、ドパミントランスポーター画像など通常臨床でも使える画像バイオマーカーがあるので、これらとMRIを組み合わせて、LATEのより詳細な臨床診断を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの関係で、前年度繰り越し分も含めて旅費使用予定分の支出が無かった。 今後の使用計画としては、アルツハイマー病理とTDP病理に加えて、レビー病理の検索のための関連抗体、染色についても追加していくために使用する予定である。
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