研究課題
妊娠期に母親がインフルエンザに感染すると統合失調症に対する発症脆弱性が形成されるという神経発達障害仮説に基づき、ウイルスRNA様の作用を示す合成二本鎖RNAポリイノシン-ポリシチジン(PolyI:C)投与による統合失調症様の神経発達障害・行動障害に対するトリプトファン代謝に注目した病態解明を2020年度より引き続き行った。PolyI:C投与により、3-ヒドロキシキヌレニンは胎児のおよび胎盤において増加した。さらに3-ヒドロキシキヌレニンとキヌレニンの比率より、キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ(KMO)の活性を評価したところ、胎盤においてKMOの活性の増加が認められた。妊娠マウスがKMO遺伝子欠損もしくはKMO阻害剤の併用投与により、妊娠期PolyI:C投与による胎児脳における酸化ストレスが認められなくなった。3-ヒドロキシキヌレニンは酸化ストレス作用を有していることから、母体(胎盤)でのPolyI:CによるKMOの活性化が3-ヒドロキシキヌレニンを産生し、胎児脳での酸化ストレスを惹起し、それが胎児の神経発達障害と統合失調症の発症脆弱性を上昇させることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件)
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