研究課題
【対象と方法】不眠を有するうつ病患者20名(男性:8名、女性:12名)に抗うつ薬であるデュロキセチンと睡眠薬であるベンゾジアゼピン受容体作動薬 (BzRAs)の併用療法を行い、1年間の睡眠薬長期使用と経過について前向き研究を行った。睡眠薬に関しては初診時に未内服の場合はエスゾピクロン2mgを投与し、他のBzRAsを使用している場合はそのまま継続投与 した。治療早期にBzRAsを中止できない場合に、BzRAsとは作用機序が異なるオレキシン受容体拮抗薬のスボレキサントを追加することで、BzRAsの長期使用を減らせるかを検討した。 【結果】20名中15名(75.0%)で治療1年後までにBzRAsを中止でき、5名(25.0%)が治療1年後もBzRAsを継続していた。つまりBzRAsの1年間の長期使用率は25.0%であった。BzRAsを中止できた15名のうち9名は治療1~4ヵ月にスボレキサンが追加投与された後にBzRAsが12ヵ月以内に中止された。6名ではスボレキサントの追加投与は行われず、エスゾピクロンが比較的早期に中止された。 我々が以前に行ったうつ病患者330名の治療1年間の後方視調査(スボレキサントの追加投与なし)では、治療1年時のBzRAsの継続率が70.3%でと非常に高率であったが、本研究において初診時にBzRAsを未内服の場合にエスゾピクロンを使用し、治療早期にBzRAsを中止できない場合にスボレキサントを追加投与することで、睡眠薬としてのBzRAsの1年間の長期使用を約25%まで顕著に減少させることができた。 【まとめ】不眠を有するうつ病患者での抗うつ薬とベンゾジアゼピン受容体作動薬(BzRAs)の併用療法において、エスゾピクロンの使用および治療早期のスボレキサント追加投与は BzRAsの長期投与を顕著に減少させる効果がある。
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