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2020 年度 実施状況報告書

次世代タウトレーサーを用いた慢性外傷性脳症におけるタウの伝播・進展様式の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07935
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

高畑 圭輔  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員(任常) (20645311)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード頭部外傷 / 慢性外傷性脳症 / ボクサー脳症 / タウ / PET
研究実績の概要

患者リクルート:頭部外傷患者のリクルートは順調に進んでいる。令和3年5月1日時点で、頭部外傷患者33名でタウPET、アミロイドPET、MRI検査を完了した。このうち23名は、反復性軽度頭部外傷患者であり、10名は単発重度頭部外傷患者である。また、反復性軽度頭部外傷に関しては、主に元ボクサーを中心にリクルートを行い、これまでに18名の元ボクサーの検査を完了している。これにより、慢性外傷性脳症(ボクサー脳症)の脳内タウ病変の詳細な検討が可能となると考えられる。反復性軽度頭部外傷患者のうち、3名では2回目のタウPET検査を完了しており、タウ病変の縦断的変化に関するデータが得られている。また、健常者については他の研究課題とデータ共有化を行うことにより、年齢と性別をマッチさせた23名からなるデータセットを確保している。

画像解析:タウPET画像の解析では、SUVR(standard uptake value ratio)法によりタウ蓄積を定量化するのが通常である。その際、標的組織と比較するために使用する参照領域は、アルツハイマー病などの認知症では小脳皮質に定義することが多い。しかし、頭部外傷においては小脳にもタウ病変が出現しうるため、参照領域の新たな定義方法の検討が必要である。そのため、大脳皮質から参照領域を抽出する手法を検討し、確立した。今後は、この新たな参照領域に基づいてSUVR値を算出する予定である。

論文化:Oxford社から出版されるNeuroscience of traumatic brain injury (2021出版予定)に頭部外傷の遅発性後遺症に関するレビューを投稿し、掲載が決定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

頭部外傷患者33名を対象にPET、MRI撮像が完了していること、このうち18名は引退したプロボクサーであり、軽度反復性頭部外傷患者においては、外傷の原因が均一である対象者の収集が実現していると言える。また、3名では2回目のタウPET撮像を完了し、頭部外傷によるタウ病変の進展についてのpreliminaryな知見が得られている。

画像解析についても、順調に検討が進んでおり、新たな参照領域の定義方法が定まったことにより、本研究の最終的な定量法が決定した。

今後の研究の推進方策

患者リクルート:今後も、頭部外傷患者の募集を進めるとともに、1回目の撮像を終えた患者に対して2回目のフォローアップ検査の実施を進めていく。これにより、脳内タウ病変の縦断的変化に関するデータを蓄積する。

画像解析については、参照領域抽出法が確立したため、これに基づいて画像解析を進めていく。

他機関の連携:京都大学が主研究期間となる基盤B研究課題(21H02805)に共同研究者として参加しており、画像解析方法、単発重度頭部外傷患者のデータ共有などを行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年5月から12月にかけて、研究所への出勤が困難な状況、患者の検査を実施することが困難となる状況などが断続的に発生し、研究に若干の遅延が発生した。そのため、2020年度に予定していた物品の購入が遅延した。また、学会出張も全て延期またはオンライン開催となり、旅費の支出が減少した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Long-term sequelae of mild-repetitive and severe traumatic brain injury: Clinical manifestations, neuropathology and diagnosis by tau PET imaging2021

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Takahata, Kenji Tagai, Makoto Higuchi, Masaru Mimura
    • 雑誌名

      Neuroscience of traumatic brain injury

      巻: in press ページ: in press

  • [雑誌論文] コンタクトスポーツと核医学:慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy)における脳内タウ病変の可視化に向けて2020

    • 著者名/発表者名
      高畑 圭輔
    • 雑誌名

      Isotope News

      巻: 769 ページ: 11-15

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 頭部外傷後による脳内病変を可視化するタウイメージング:慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy)の早期診断に向けて2020

    • 著者名/発表者名
      高畑 圭輔
    • 雑誌名

      週刊 医学のあゆみ,

      巻: 273 ページ: 1232-1233

  • [学会発表] 頭部外傷による遅発性脳障害と慢性期の脳画像所見 Late-life neurodegenerative disorders due to traumatic brain injury: Epidemiology, clinical symptoms and neuroimaing biomarkers.2021

    • 著者名/発表者名
      高畑圭輔
    • 学会等名
      第 39 回日本認知症学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Tau PET findings of chronic traumatic encephalopathy (CTE) and late-life psychiatric diseases2020

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Takahata
    • 学会等名
      The 3rd Annual Workshop on APN-1607 (PM-PBB3)
    • 招待講演
  • [図書] 高次脳機能障害 ビジュアル大辞典2021

    • 著者名/発表者名
      高畑圭輔
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      リハビリナース
    • ISBN
      4840471320
  • [図書] Annual Review 神経20202020

    • 著者名/発表者名
      高畑圭輔
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      中外医学社
    • ISBN
      978-4-498-32848-8

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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