研究課題/領域番号 |
20K07941
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
西村 倫子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任講師 (30773791)
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研究分担者 |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (20362189)
岩渕 俊樹 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (20711518)
奥村 明美 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (40767943)
崔 多美 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (50791836) [辞退]
原田 妙子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (60525963)
武井 教使 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80206937)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 性差 / 軌跡 / 神経発達 / 適応行動 |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)の有病率は一貫して男性に多いとされてきたが、近年、特に知的障害を伴わない女性では、ASD特性が見逃されている可能性が指摘されている。ASDの早期発見・早期療育のために、早期徴候特定のための研究が数多く行われているが、性別特有の早期徴候があるかどうかはほとんど知られていない。本研究では、Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Studyに参加する児(1258名)を対象に、一般集団におけるASDの早期徴候の性差について検討することを目的としている。現在、対象児824名について、9歳時点のASD特性(対人応答性尺度、SRS-2により測定)と適応行動(Vineland-IIにより測定)について、測定とデータ入力を終了した。対象児は、SRS-2で設定された男女別のカットオフ値に基づいて定型(女児345名、85.6%;男児347名、82.4%)、軽度~中程度(女児46名、11.4%;男児63名、15.0%)、重度(女児12名、3.0%;男児11名、2.6%)の各群に割り当てられた。各群の6~40ヶ月の神経発達、32ヶ月~9歳の適応行動について潜在成長曲線モデル(latent growth curve model)を用いて軌跡を描いた結果、神経発達については表出言語のドメインで、適応行動についてはコミュニケーションドメインで群と性別の有意な交互作用がみられ、性別特異的な軌跡が確認された。表出言語については、男児では2歳前後で一時的な遅れがみられるものの、その後キャッチアップ傾向を示す軌跡がみられ、女児では観察期間中一貫して遅れがみられなかった。コミュニケーションドメインでは、男児では表出言語同様、3歳前後にキャッチアップ傾向を示すが、学齢期にかけて徐々に遅れがみられる軌跡が確認された。一方女児では3歳以降に直線的にスコアが低下する傾向がみられた。引き続き解析を進めるとともに、結果について考察を深め、論文執筆に取り組みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Study に参加する児1258名を対象に追跡調査を実施している。自閉特性と適応行動について、予定していた9歳時点の調査を、実施可能な840名すべてについて終了した。データ入力が終了し、現在解析を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
スーパーバーズを受けながら解析を進め、論文執筆に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた物品の購入が一部まだできていない。また学会参加や発表のために予定していた旅費も使用できていない。翌年度にこれらの物品の購入や旅費の使用を計画している。
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