研究課題
統合失調症など精神疾患の治療は薬物療法、精神療法および環境調整から成り立つ。統合失調症の病因は未だ明らかになっておらずバイオマーカーも確立されていないが、薬物療法への反応性から病態を細分化し、メカニズムを解明できる可能性がある。統合失調症の薬物療法では抗精神病薬を投与するが、20-30%程度の患者は十分な効果が得られず、治療抵抗性と診断される。クロザピンは抗精神病薬の一種であるが、治療抵抗性と診断された統合失調症のみに使用可能な治療薬であり、60-70%の有効率が示されている。一方で30-40%の治療抵抗性統合失調症患者はクロザピンによっても十分な精神症状の改善が得られない。クロザピン抵抗性統合失調症の患者特性や病態については未解明であり、本研究ではクロザピン抵抗性統合失調症を定義できるバイオマーカーを探求することを目的とし研究を進めてきた。上記バイオマーカーの候補として、眼球運動などの中間表現型に着目し、被験者リクルートおよびデータ解析を行った。その結果、クロザピン抵抗性自体の有意な特徴を眼球運動などのバイオマーカーで特定するには至らなかった。しかしデータ解析を進めていく中で、統合失調症患者の眼球運動特徴が治療転帰に関連している可能性を見出した。統合失調症については、治療転帰に関しても明確なバイオマーカーが存在しないため、引き続き眼球運動データを用いながら臨床指標との関連について研究を進めていく。
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https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/psy/laboratories/lab05/