研究課題
本研究の目的は,注意機能テストを含む前頭葉機能の評価と運転行動チェックリストによって,認知症および認知機能低下を示す者のなかから,交通事故リスクが高い者を,高い感度・特異度で検出できる検査バッテリーを確立することである。従来の免許更新制度では捉えきれない発症年齢が比較的若いケースや軽度認知機能障害,その他の精神疾患においても,発展・応用可能となる可能性がある。2022年度,計画に沿って,運転シミュレーター,注意機能テスト(高知工科大学篠森により作成),運転行動チェックリスト,半構造化面接による家族運転行動評価(交通 違反・事故歴は後ろ向きに調査)を運転能力評価のための課題として行い,MMSE(Mini Mental State Examination),IADL(Instrumental Activity of Daily Living),精神症状/問題行動評価(NPI),認知症の重症度評価(CDR),Trail making test(TMT)およびFrontal assessment battery(FAB),STAI(状態‐特性不安検査),新Stroop検査を認知機能評価のための神経心理検査として実施し,データ収集を行った。17例の軽度認知障害(MCI)患者から研究同意が得られた。17例の背景疾患としてはアルツハイマー病6例,脳血管障害1例,正常圧水頭症1例,皮質基底核変性症1例,背景疾患未確定が7例であった。交通事故との関連性を示す前頭葉機能検査は検出できなかったが,STAIで状態不安が高いことは交通事故との有意な関連性を持つことが示された。また,60歳以上のすべての患者において簡易自動車運転シミュレーター(SiDS)で適正なしと判定され,MCIレベルの認知機能低下が軽度な段階であっても,医学的には自動車運転能力の低下が認められることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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