研究課題/領域番号 |
20K07956
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 正泰 日本大学, 医学部, 教授 (20526107)
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研究分担者 |
谷口 哲也 日本大学, 医学部, 准教授 (10383556)
横瀬 宏美 日本大学, 医学部, 助教 (40465274)
金子 宜之 日本大学, 医学部, 助教 (50774147)
斎藤 かおり 日本大学, 医学部, 助手 (60838902)
久保 英之 日本大学, 医学部, 助教 (70451367)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | うつ病 / 睡眠 / 脳波 |
研究実績の概要 |
うつ病治療の反応予測に睡眠脳波が利用できるか確認するための予備的検討を行った。短期で抗うつ効果が得られる覚醒(断眠)療法を入院環境で受けた31名の抑うつ状態患者の治療前の睡眠脳波と治療効果との関連を検討した。ハミルトンうつ病評価尺度にて50%以上の改善を反応と定義したところ、24名が反応した。反応群は非反応群と比較し、睡眠脳波上、入眠までの時間(入眠潜時)が短く、REM睡眠が短かった。スペクトル解析では、反応群でREM睡眠中のβ波活動が低かった。 上記予備的検討の結果から、うつ病治療の反応予測に睡眠脳波の利用は可能と考えられた。また、睡眠脳波指標のうちREM睡眠関連指が反応予測上重要である可能性が示唆された。次年度以降、薬物療法における睡眠脳波データを用いた治療反応予測モデルの開発を行う予定であるが、同研究で使用する携帯型睡眠脳波計については、一定以上のREM睡眠判定精度が担保されている必要があると考えられた。 これを受けて、現在国内で使用可能な主要な携帯型睡眠脳波計の精度および使用感を少数の健常者およびうつ病患者で検証した。脳波に加え筋電の記録も行える多チャンネル機種では、高い睡眠ステージ判定精度が期待できるもの、装着は必ずしも容易ではなく、一部の患者においては自身での記録が困難であった。一方、1チャンネル脳波計は、レム睡眠の判定精度にやや不安が残るものの、装着、記録は簡便であり、幅広い患者層で使用可能と考えられた。これらの結果を踏まえ、次年度以降に実施する臨床研究の詳細を決定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、今年度の前半で予備的検討を終え、年度内に次年度より開始する臨床研究の具体的計画を確定する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、予定通りに研究協力者をリクルートできなくなり、予備的検討に遅滞が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度より、薬物療法における睡眠脳波データを用いた治療反応予測モデルの開発を行う予定であるが、今後も新型コロナウイルス感染症の影響により、臨床データ収集が難航することが予想される。実施可能な研究計画に変更し進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたよりも安価に購入できた物品があったため残金が生じた。次年度、必要な消耗品の購入費用の一部にあてる予定である。
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