研究課題/領域番号 |
20K07956
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 正泰 日本大学, 医学部, 教授 (20526107)
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研究分担者 |
谷口 哲也 日本大学, 医学部, 准教授 (10383556)
横瀬 宏美 日本大学, 医学部, 助教 (40465274)
金子 宜之 日本大学, 医学部, 助教 (50774147)
斎藤 かおり 日本大学, 医学部, 助手 (60838902)
久保 英之 日本大学, 医学部, 助教 (70451367)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | うつ病 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
抗うつ薬の治療反応性の予測にポータブル睡眠脳波計で取得した睡眠脳波の利用が可能であるか検討するための臨床研究を開始した。本研究課題の開始当初は、2つのクラスの抗うつ薬について、治療前の睡眠脳波所見と治療反応性との関連を検討する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により患者リクルートの難航が予想されたことから、対象の抗うつ薬を1クラスに絞ることにした。現在、3医療機関にてデータ収集を進めている。 精神疾患における睡眠障害の病態的意義の理解を深めるため、上記と併行して、既存データを用いた検討も行った。抑うつ症状は、うつ病や双極性障害などの気分障害以外の精神疾患でもみられ、生活の質(QOL)の低下や自殺リスクの上昇、治療反応性の低下など臨床的に重要な課題と関連することが知られる。うつ病においては、不眠と抑うつ症状との間に密接な関連があることが知られている。この関係が他の精神疾患においても認められるか明らかにするために、144名の主要な精神疾患の患者(うつ病71名、統合失調症25名、双極性障害22名、不安障害26名)から取得したデータの解析を行った。その結果、対象とした全ての疾患において、不眠(アテネ不眠尺度で評価)と抑うつ症状(ベックうつ病調査票で評価)との間に有意な関連を認めた。うつ病以外の精神疾患においても睡眠の状況に着目することが、治療経過や予後の改善に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に実施した予備的検討が新型コロナウイルス感染症流行の影響により遅滞したことで、その後の研究計画にも遅滞が生じている。今年度よりデータ収集を開始した臨床研究については、コロナ禍であることを考慮し一部研究計画を変更し進めたが、それでもなお患者リクルートに難航した。 一方で、臨床データ収集に難渋していたこともあり、併行して既存データを用いた検討を進め、他の精神疾患の研究にも還元できる重要な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施中の臨床研究を進める。多施設共同研究であるため、各施設の担当者とは定期的にミーティングを開催し、円滑にデータ収集が進むよう努める。今後も新型コロナウイルス感染症の影響により被験者募集が難航する可能性があるが、その場合には参加施設を増やすことも検討する。また、当初の研究計画以外にも本研究課題の目的を達成する上で有用な研究については積極的に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行の影響もあり患者リクルートが難航した。そのために今年度使用予定だった脳波解析費用や謝金を次年度に使用する必要性が生じた。
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