研究課題
昨年度に引き続き、抗うつ薬の治療反応予測に資する睡眠脳波指標を探索するための臨床研究を行った。3つの医療機関にて、抗うつ薬の投与が予定されている未治療のうつ病患者を対象にポータブル脳波計で睡眠脳波を自宅で記録し、その後の臨床経過を8週間追跡した。研究期間中に目標症例数に達することはできなかったが、今後も症例登録を継続し、これまでに行った予備的検討の結果を踏まえ、治療反応予測モデルの開発を目指す。上記と併行して、抑うつ症状と睡眠状態との関連を検討するための疫学的検討も行った。日本在住の一般成人約2500名を対象とした既存データを利用し、近年、睡眠の質を表す指標として注目されている「睡眠休養感」と希死念慮との関連を検討した。その結果、休養感のない睡眠は不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)よりも希死念慮に強く関連しており、自殺リスク評価に「睡眠休養感」が有用である可能性が示唆された。本研究課題については、初年度から3年間コロナ禍であったことから、当初の研究計画を一部変更せざる得なかった。しかしながら、研究期間の前半に行った少数例検討では、治療前の入眠潜時やレム睡眠期の長さ、レム睡眠中のベータ波活動が、その後の抗うつ治療の効果と関連する可能性を見出すことができた。また、既存データを用いた2つの研究では、主要精神疾患において睡眠状態の不良さは抑うつ症状の重症度と関連すること、睡眠休養感が希死念慮に関連することなど、抑うつ症状の病態理解の上で有用な知見を得ることができた。
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