研究課題/領域番号 |
20K07963
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
竹内 崇 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (70345289)
|
研究分担者 |
宮島 美穂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70616177)
市倉 加奈子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (00769044)
松島 英介 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (50242186)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 質的研究 / 疾病概念 / 精神腫瘍学 |
研究実績の概要 |
本年度は、小中学校の教科書におけるがんに関する記述についての質的研究を実施する予定であった。一方で、COVID-19感染拡大初期には、小中学校においては、緊急事態宣言に伴う休校や、教科書以外のオンライン教材による授業や自習、保健教育における感染症対策の比重の増加や、児、保護者、教職員における不安、戸惑い、疲弊など、教育現場の状況に大きな変化があった。このため、予定通り研究を開始する前に、COVID-19感染拡大下における本研究の意義や目的、方法を再検討した。具体的には、学校教育現場の状況の変化を観察しつつ、小学校教員やスクールカウンセラーに対するヒアリングを行い、COVID-19感染拡大下における保健教育資料を収集した。また、児が教科書に接する機会が相対的に減って教科書以外のメディアの影響が大きくなる可能性を考慮し、質的研究の対象を児童書やマンガ、アニメ等に変更することについて予備サンプリング等を通じて検討した。 これらの検討の結果、教科書を質的研究の対象とすることは妥当と考えられ、一方で今後の社会動向次第では教科書以外の媒体も質的研究の対象として追加することは有用であると考えられた。従って、当初の計画通り、教科書の収集と質的分析を開始した。現在は小学校4-6年の全教科の教科書を収集し、分析中である。また、小学校道徳教科書におけるがんの心理社会的側面に関する描写と、死に関する描写についての分析結果を、国際学会で発表し、それぞれ優秀ポスター賞、若手ポスター賞を受賞した。また、平行して教科書以外の媒体について、有識者の助言を得ながら分析対象の選定、分析方法の検討を実施している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①COVID-19感染拡大下における小中学校の教育環境の変化に応じて、研究の目的や方法を再検討し、修正したため。 ②①COVID-19感染拡大のために対面での打ち合わせや情報共有が困難となり、これらの活動を従来のようには円滑に進めることができなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は教科書の質的研究を引き続き実施する。今後の社会動向に応じて教科書以外の媒体も質的研究の対象として追加することを検討する。文献研究の完了後に、その知見に基づいて、精神腫瘍学的視点を取り入れた家庭用のがん教材を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度前半に研究計画の再検討を行ったため、本年度の分析対象書籍の購入および研究支援員による分析作業は計画の一部分にとどまった。次年度には繰り越し分の予算を使用し、再選定した書籍を購入して分析を進める予定である。
|