研究課題/領域番号 |
20K07964
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 哲也 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (00377459)
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研究分担者 |
信川 創 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (70724558)
池田 尊司 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (80552687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 神経ネットワーク障害 / 脳磁図 / 動的位相変動解析 / クラスタリング解析 / 脳活動シミュレータ |
研究実績の概要 |
本研究では,申請者らが開発した動的位相変動解析を脳磁図に適用することで動的神経ネットワーク構造をよりダイナミカルに捉え,自閉症スペクトラム障害における神経ネットワーク障害の新たな一面を浮き彫りにする.さらにクラスタリング分析や脳活動シミュレータを用いることで,臨床的異質性や併存する精神疾患に配慮した個別化治療システムの構築を目指す.具体的には,5~6歳の自閉症スペクトラム障害児群と年齢/性別を一致させた定型発達児群を対象に小児用脳磁図を用いて脳機能を計測し,以下の2項目を解明する.① 動的位相変動解析を用いて動的神経ネットワーク構造をダイナミカルに捉え,自閉症スペクトラム障害に特徴的な神経ネットワークダイナミクスを探索.② クラスタリング分析や脳活動シミュレータを用い,臨床的異質性や併存する精神疾患との関連性を検討し,早期診断/個別化治療システムの構築する. 現在データ計測は終了して動的位相変動解析を進めており,神経ネットワーク特性の同定を行っている.また脳活動シミュレータについては,大脳基底核-視床-大脳皮質系で生理学的に観測されている発火パターンを再現する神経システムをスパイキングニューラルネットワークにより構築し,興奮性/抑制性ニューロン比率や局所的ネットワーク構造,領野間結合に関するパラメータに着目して定型発達児群/自閉症スペクトラム障害児のパターン特徴を生成するダイナミカル神経ネットワーク構造の病理パラメータ領域の探索を検討した(Cognitive Neurodynamics, 2021).また,カオス共鳴機構を利用して,発達障害の一つである注意欠如多動症の乱れを即応的に正常化するアルゴリズムを開発し,モデルシミュレーションでの効果検証を実施した(Frontiers in Computational Neuroscience, 2021).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ計測は終了し,動的位相変動解析を行い神経ネットワーク異常の同定を進めている. 脳活動シミュレーターに関しては,その方法論について論文発表し(Cognitive Neurodynamics, 2021),さらに発達障害の一つである注意欠如多動症の乱れを即応的に正常化するアルゴリズムを開発し,モデルシミュレーションでの効果検証を実施し,論文発表している(Frontiers in Computational Neuroscience, 2021).
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今後の研究の推進方策 |
①脳磁図の動的位相変動解析を進め,自閉症スペクトラム障害児と定型発達児の脳磁図特性に対してクラスタリング解析を行い,自閉症スペクトラム障害に特徴的なプロフィールの成分を明らかにする. ②自閉症スペクトラム障害に特徴的なプロフィールに対して臨床特性や併存疾患との回帰分析を行い,プロフィールに関連するパラメータを明らかにする. ③本研究で構築された脳活動シミュレータを用い,上記で得られたプロフィールを有する神経発火活動を再現するネットワークパラメータ領域を探索し,自閉症ス ペクトラム障害の神経ネットワークの構造を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあり,予定されていた学会参加は見合わせ,さらに定期的に予定していたミーティングはすべてオンラインで行った.そのため,旅費が不要となった.
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