研究実績の概要 |
本研究では,動的神経ネットワーク構造をよりダイナミカルに捉えて自閉症スペクトラム障害における神経ネットワーク障害の新たな一面を浮き彫りにし,さらにクラスタリング分析や脳活動シミュレータを用いて臨床的異質性や併存する精神疾患に配慮した個別化治療システムの構築を目指す.具体的には以下の2項目を解明する.① 動的位相変動解析を用いて動的神経ネットワーク構造をダイナミカルに捉え,自閉症スペクトラム障害に特徴的な神経ネットワークダイナミクスを探索.② クラスタリング分析および脳活動シミュレータを用いた早期診断/個別化治療システムの構築する.現在データ計測は終了して各種解析を行っている. 2021年度:脳活動シミュレータを用いて定型発達/自閉症スペクトラム障害のパターン特徴を生成するダイナミカル神経ネットワーク構造の病理パラメータ領域を探索し(Cognitive Neurodynamics, 2021),カオス共鳴機構を利用した注意欠如多動症の乱れを即応的に正常化するアルゴリズムの開発とモデルシミュレーションでの効果検証を実施(Frontiers in ComputationalNeuroscience, 2021). 2022年度:ネットワーク解析手法として,脳波の複雑性解析および媒介中心性解析の臨床的妥当性の検証を行い,それらの解析が加齢による認知機能の変化を的確に捉えることを明らかにした(Front Neurosci, 2022;Front Aging Neurosci, 2022).さらに我々が開発した動的位相変動解析を全脳のネットワークダイナミクスに発展させた解析手法の開発に取り組み(Annu Int Conf IEEE Eng Med Biol Soc, 2022),その臨床的有用性の論文を作成中である.
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