研究課題
高齢化を背景とした認知症患者の増加が問題となっており、認知症の根本的な治療法の確立は急務である。認知症の大多数を占めるアルツハイマー病や前頭側頭葉変性症では、認知症の臨床症状がタウ蛋白の異常蓄積や神経細胞死とともに出現してくることが知られており、タウ蛋白は治療介入のために重要なターゲットである。タウ蛋白はスプライシング様式によって3リピートタウと4リピートタウに分類される。4リピートタウはβシート化を促進し、神経毒性が高いタウオリゴマーの形成を促進する。本研究では、アンチセンスオリゴや化合物を用いて、認知症患者神経細胞におけるタウのスプライシングやその発現量の制御を行い、タウオリゴマーの減少と神経細胞死抑制を可能にする認知症治療候補薬の同定を目的としている。本年度は、前頭側頭型認知症患者iPS細胞由来神経細胞を用いて、アンチセンスオリゴによるタウスプライシングの変化や化合物によるタウオリゴマー蓄積抑制効果および神経細胞死抑制効果を評価し、いくつかの有効性を有する化合物を見出した。また、それらの化合物の有効性に関するメカニズムの探索を行った。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに進捗しており、最終目標の達成が可能であると考えられるため。
見出した化合物やアンチセンスオリゴについて、その有効性メカニズムの解明を目指すとともに、タウオパチーを来す様々な疾患iPS細胞由来神経細胞におけるタウオリゴマー蓄積や細胞死に対する有効性を評価する。
研究自体は順調に進捗しているが、本年度実施予定であった研究の一部が次年度実施予定となったため、次年度使用額が生じている。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Commun Biol.
巻: 4 ページ: 1213
10.1038/s42003-021-02719-5