研究課題/領域番号 |
20K07970
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
樋口 尚子 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00711269)
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研究分担者 |
中川 伸 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60360905)
松原 敏郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60526896)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 周産期メンタルヘルス / パートナー / 産後うつ |
研究実績の概要 |
周産期には女性のみならずパートナーもうつ病を罹患しやすいといわれているが、妊産婦に問題がない場合、パートナーへの支援は難しいのが現状である。本研究の目的は①周産期における妊産婦およびパートナーの精神状態と生活状況等との関連、②パートナーの精神状態について妊産婦による客観的評価を行い、自覚的評価と客観的評価の一致率を明らかにし、客観的評価の妥当性を検討することである。調査時期は出産前(初期、中期、後期のいずれか)と父親の産後うつ病の発生率が高いと言われている時期(産後3~6か月)とした。評価尺度は主観的評価、客観的評価の一致率を調べるためにEPDS(エジンバラ産後うつ病調査票)と HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)を、妊産婦、パートナーの精神状態を調べるためにBDI(ベック抑うつ質問票)とSTAI(状態・特性不安検査)を用いた。精神的不調に影響する心理的因子を探るためのアンケートは独自で作成したものを使用している。また本研究の対象者は妊産婦とそのパートナーであるが、COVID-19の流行により妊娠・出産数が減少する状況となった。そのため多施設共同研究を行うこととし、山口県立総合医療センター、関門医療センターの産婦人科に協力を依頼、同意が得られた。各施設での研究倫理審査委員会にて承認が得られ、研究対象者への説明文書の配布を開始した。同意が得られた研究対象者にアンケート調査票を決められた時期に郵送し、返送された結果を随時データ化している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で165組より研究参加の同意が得られ、135組より第1回目(妊娠中)の調査票、85組より第2回目(産後)の調査票の返送があった。一時期、同意取得数が減少したが、現在は増加傾向にある。
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今後の研究の推進方策 |
年間40組(80人)を目標にアンケート調査を行っていく。まず、妊産婦とそのパートナーの周産期における精神状態と不安因子の調査を行う。妊産婦とそのパートナーを対象に、出産前(初期、中期、後期のいずれか)と産後3~6か月の計2回の精神状態を確認する。妊産婦とパートナーに対しBDI(ベック抑うつ質問票)、STAI(状態・特性不安検査)、赤ちゃんへの気持ち質問票(産後のみ)を用いて精神状態を評価する。次に、妊産婦とパートナーの精神状態における関連性の検討と心理的因子に影響する因子を探索する。周産期におけるパートナーの不安、うつ状態は、妊産婦のうつ状態に影響されて生じるものなのか、他にどのような因子が影響しているのかを検討する。産科的問題や出産そのもの、環境、経済的状況等、様々な問題に対する関心の程度、外出頻度や他者との交流頻度、 勤務状況を含めた生活状況等を調査し、パートナーの不安、うつ状態に影響を及ぼす可能性が高い因子を同定する。さらに、妊産婦のパートナーに対する精神状態理解の一致度を検討する目的で、パートナーの精神状態の自己評価と妊産婦のパートナーに対する客観的評価のためにHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)、EPDS(エジンバラ産後うつ病調査票)を施行する。それらの結果をまとめ、妊産婦の行うアンケートにパートナーの精神状態に対する評価項目を加えることの有効性について検討し、その成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染流行のため計画の見直しが必要となり、調査の開始が遅くなったこと、産後調査を研究期間内に終わらせるため当該年度ではなるべく産後6か月での調査を多くしたため、産後調査まで行えたケースが少なく、未使用額が生じた。次年度以降も調査時期の調整を行いながら調査を行う予定である。
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