研究実績の概要 |
本研究は注意の方向性による脳機能の違いを、脳波α帯域パワー値の事象関連変動解析により解明することを目的としている。外的注意/内的注意を高める課題としてそれぞれワーキングメモリー/自己参照課題を用いて実験系を構築し、健常群を対象として実験・解析を行い同実験系の確立を試みた。その結果、脳波事象関連α帯域パワー値は、両課題間で注意の向きが逆になる時間帯にワーキングメモリー課題では減衰、自己参照課題では増大しておりその差は統計学的に有意であった。 2020年度は健常群での結果を発表し1)、2021年度は健常群および注意欠如・多動症(Attention deficit hyperactivedisorder: ADHD)を対象とする本実験系による研究計画を立案し、2021年12月に埼玉医科大学病院IRBの承認を得たのち実験環境を整備。2022年度より被験者リクルート・データ収集を進め、2023年度は健常群・ADHD群各5名の中間解析の結果を国内学会に発表した2)。
1) Matsuoka T, Shimode T, Ota T, Matsuo K. Event-Related Alpha-Band Power Changes During Self-reflection and Working Memory Tasks in Healthy Individuals. Front Hum Neurosci. 2021 Jan 25;14:570279. doi: 10.3389/fnhum.2020.570279. 2)清水直樹, 松岡孝裕, 木下雅一、原田 舟, 岡井公志, 上村 永, 松尾幸治.ワーキングメモリー課題/自己参照課題遂行中の脳波α帯域パワー値の事象関連変動について ─健常者とADHD患者における検討─. 第53回日本臨床神経生理学会 福岡, 2023年12月01日.
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