研究実績の概要 |
本研究では、BBB機能異常に伴って脳血管由来エクソソーム(EV)の放出が起こる可能性について検証し、うつ病モデルマウス血清由来EVの機能解析によるBBB機能低下を伴うタイプのうつ病診断末梢バイオマーカーを探索することを目的とする。これまでに慢性拘束ストレスを用いたうつ病モデルマウスでは、うつ行動発現に伴って脳領域特異的なBBB機能低下が起きており、そのメカニズムにはVEGF-VEGFR2シグナルが関与していることを明らかにした(Matsuno et al., 2022)。また、うつ病モデルマウスから採取した血清のEV単離方法について、ナノ粒子解析、ウエスタンブロットによるEVマーカータンパク発現の確認により検討を行った。血清由来EV中の血管内皮細胞由来EVの検出についても検討したが、ウエスタンブロットによる検出は難しく、血管内皮細胞特異的なラベル方法等が必要であることが分かった。 令和5年度は、うつ病モデルマウスから採取した血清由来EV中についてナノ粒子解析装置を用いてEV粒子径・数の再計測を行った。また培養脳血管内皮細胞へうつ病モデルマウス血清由来EVの投与を行い、培養脳血管内皮細胞の経内皮電気抵抗および細胞間接着構造への影響について解析を行った。さらに慢性ストレスによるEV機能的変化について明らかにするため、マウス血清由来EVから調整したmiRNAの網羅的発現解析を実施した。
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