本研究では、ポリリン酸によるヒト肺非小細胞癌由来細胞株H1299の放射線感受性増感メカニズムを解明することを目標とした。ミトコンドリア膜電位はポリリン酸処理によってピルビン酸依存的に、細胞内ATP量はピルビン酸非依存的に減少した。乳酸分泌量やグルコース-6-リン酸脱水素酵素活性はポリリン酸処理群とコントロール群に差異は見られず、解糖系やペントースリン酸回路の関連性はみられなかった。ポリリン酸による細胞内ATP量の低下はミトコンドリア膜透過性遷移孔(mPTP)活性阻害剤シクロスポリンA存在下においても観察され、ポリリン酸によるATP量低下はmPTP活性とは別の経路に起因すると考えられた。
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