研究課題/領域番号 |
20K07992
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤永 康成 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70334901)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高精度MRI / 膵癌 / 血行動態解析 / Radiomics / 病理組織 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,主に高精度MRIの撮像条件の適正化および症例の蓄積を行った. 1.自由呼吸下ダイナミックMRIに関する検討:自由呼吸下ダイナミックMRIの画質に関して,直交座標系でデータ収集する方法(CS-VIBE)44例と放射状にデータ収集する方法(GRASP)25例ついて,比較検討を行った.その結果,呼吸間隔よりも短い時間分解能においてはCS-VIBEの方が若干画質が良好であったが,呼吸間隔よりも長い時間分解能においては,両者の画質は同等であった.短い時間分解能の場合はCS-VIBEでより良好な画質が得られる可能性がある一方で,2つの手法では呼吸同期法を統一できなかったため,呼吸同期法の違いが影響している可能性も考えられた. 2.血行動態解析における至適時間分解能に関する検討:GRASPはデータを放射状に連続して収集するため,撮像後,任意の時間分解能でダイナミックMRIの再構成が可能である.理論上,時間分解能が高い(撮像時間が短い)データから得られる血行動態解析の結果がより正確な時間-濃度曲線のデータを反映するため,1.8秒の時間分解能で撮像したダイナミックMRIから得られる血行動態解析値をreference standardとして,3秒,4.8秒,7.8秒の時間分解能から得られる値と比較し,時間分解能の許容範囲を検討する.現在,データ収集が完了し,解析中である.この結果を基に,より正確なRadiomics解析に進む予定である. 3.膵癌切除症例の蓄積:外科的切除された膵癌症例を蓄積中.従来の撮像法でダイナミックMRIが施行されている症例と自由呼吸下で高精度ダイナミックMRIを施行された症例を合わせて蓄積中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染が蔓延した影響で,十分なmeetingを行うことができなかったことと膵癌の新規切除例が計画段階で予想された症例数を下回ったことによる.
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今後の研究の推進方策 |
予定通り,ダイナミックMRIの撮像方法を最適化し,膵癌に関する血行動態解析を含めたRadiomics解析を行う予定.症例数の不足により他疾患との比較が困難である場合でも,病理組織像との対比や予後予測因子の検討は行う予定.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染蔓延影響で,研究の進捗がやや遅れているためと,学会参加が難しい状況であるため交通費や宿泊費をほとんど使用しなかったため.研究が進捗した段階で,令和2年度購入できなかった物品を令和3年度に購入し,COVID-19感染の状況をみつつ学会発表や論文発表を進める予定であり,繰り越した研究費はこれらに充てる予定である.
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