研究実績の概要 |
microRNAをトランスフェクションした膵癌細胞株Panc‐1に対して、照射実験をおこなった。これまで陽子線、ヘリウムイオン線、炭素イオン線を用いて照射実験を行ってきたが、実験効率上、炭素イオン線のみ用いて照射を行った。 トランスフェクションに用いるmicroRNAとしては、miR99b, miR101-1, miR144を用いた。また、コントロールとして、空ベクターをトランスフェクションした細胞(コントロールベクター)にも照射を行った。トランスフェクションしたmicroRNAはいずれも過去の研究にて放射線増感が示されているものを用いた。照射は1Gyから4Gyまで1Gy刻みで施行し、生存率を比較した。 結果として、コントロールベクターで細胞の生存率が1Gy:51%, 2Gy:34%, 3Gy:15%, 4Gy:0.7%に対して、miR99bで1Gy:84%, 2Gy:37%, 3Gy:16%, 4Gy:12%、miR101-1で1Gy:43%, 2Gy:19%, 3Gy:15%, 4Gy 0.5%, miR144で1Gy:76%, 2Gy:41%, 3Gy:17%, 4Gy:0.6%であった。miR99bやmiR144ではコントロールベクターと比較して生存率が減少している(=放射線増感が見られている)わけではなかったが、0Gy群も含めて細胞の小型化・萎縮が見られており、これらの変化もmicroRNAの導入の効果と思われた。前回の実験に引き続き有望な結果が得られたものの、トランスフェクション効率自体は40%程度と低く、今後のマイクロアレイを用いた解析に向けての課題と思われる
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