研究課題/領域番号 |
20K07997
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
金澤 裕樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80714013)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミエリン / MRI / MWF / MT / DKI / VBM / 機械学習 / SVM |
研究実績の概要 |
本研究は,核磁気共鳴画像法から算出できる緩和時間,磁化率,拡散係数,磁化移動の定量パラメータに着目した統合的ミエリンイメージング手法を開発し,脱髄疾患に対してミエリン含有量の定量解析を行うことである.令和3年度は,令和2年度に引き続きMT解析に関して検討を行った.そして,spoiled gradient-echo(SPGR)法を用いて,マルチエコー時間のデータセットから,myelin water fraction(MWF)を導出し,申請者が開発したquantitative parameter mapping(QPM)の緩和率から導出するミエリンマップ手法との比較を行いながら検討を進めた.さらに,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた統合的定量ミエリンマップに関するデータベースの構築およびプログラム開発を行った. 磁化移動の検討では,交差緩和を考慮したmcDESPTモデルを応用して検討を行った.SPGR信号値が水交換モデルに適応できることを数値シミュレーションにより実証した.そして,QPM-MRIを用いて脳組織構造間の水交換率を算出することができた. MWFとQPMミエリンマップとの比較では,健常ボランティアデータをvoxel based morphometry(VBM)解析により定量値を標準脳データとして作成した後,白質領域標準脳アトラスを用いて比較を行った.各領域とも高い相関関係を示した. CNNを用いた統合的定量ミエリンマップに関するデータベースの構築およびプログラム開発は,本検討の技術的探索として,オープンソースの画像データベースを用いて,早期アルツハイマー病の判別を行うプログラムを構築した.ここで,VBM解析により皮質領域を分け,deep learning,CNN,サポートベクターマシーン(SVM)分類器機構を実装し,精度よく判別できることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁化移動の定量パラメータに関する検討では,MTパルスを加えなくても,SPGR法の部分飽和効果によるモデルを使用することで,ミエリンなどの構造物間の水交換プールを表現できることがわかった.MWFとQPMミエリンマップとの比較により,白質領域の違いによって,MWFの値が異なることが判明することができた.これは言い換えると,VBMにより詳細な領域情報を考慮することは,ミエリン含有量の定量解析において重要な因子になることを証明することができたと言える.また,機械学習を用いた検討においても,詳細な領域の情報を入力値とすることで,精度に大きく影響を与えることがわかった.以上より,一定成果が得られ,新たな知見を獲得できたので,進捗は予定通りに進展したと考える.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,健常者データのMWF,diffusion kurtosis imaging(DKI),quantitative susceptibility mapping(QSM)のVBM解析を用いて定量値を標準脳データとして作成した後,これを入力データとして使用し,CNNによって白質構造の特徴量を抽出し,統合的な定量ミエリンマップを構築するプログラムを作成する.さらに,臨床データの収集も同時に着手し,SVMも含めた検討ができるように準備を整える.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響により,当該年度に開催された国内及び国際会議が全てオンライン開催に変更になり旅費を使用しなかったため,次年度使用計画が生じた.翌年度分として請求した研究費と合わせて,今後は旅費または消耗品の購入として使用する予定である.
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