研究実績の概要 |
本研究は,心臓CTデータ上でボロノイ図という数学的アルゴリズムを用いた冠動脈狭窄の支配領域の抽出技術と心臓核医学検査の心筋血流イメージングを統合し、冠動脈狭窄枝の支配灌流域にある核医学検査の心筋血流製剤の集積をより正確に定量評価し,心臓核医学検査の新たな評価方法を開発することを目的とした。 最終年(2023年)では、陳旧性心筋梗塞例のサブ解析において、梗塞責任病変の支配領域 (Coronary Artery based Myocardial Segmentation, CAMS)と非梗塞枝の支配領域の心筋血流製剤(201-Tl)の集積量(Quantitative SPECT, QSPECT)を算出し、左心室17セグメント分割と核種の集積程度の5段階評価による負荷像スコア(Summed Stress Score, SSS)、心エコーの左室駆出率(LVEF)との関係を評価した。結果は、非梗塞枝CAMS-QSPECTとSSSの有意な相関関係と、非梗塞枝CAMS-QSPECTとLVEFの有意な相関関係を示した。一方、狭心症例のサブ解析では、冠動脈造影の有意狭窄枝(>50%)と非有意狭窄枝の支配領域 (CAMS)の心筋血流製剤の集積量(QSPECT)を算出し、有意狭窄枝CAMS-QSPECTは非有意狭窄CAMS-QSPECTより低値であることを示した。これらは、韓国で行われた循環器イメージングの国際シンポジウムの招聘講演で発表した。 また、このCAMSの技術を用いて、肥大型閉塞性心筋症における経皮的中隔心筋焼灼術の治療前画像診断と治療アウトカムの評価への有効性についても英文雑誌に報告した。 すでに負荷心筋ダイナミックCTでの心筋血流量とCAMSの融合については我々の研究グループで発表しており、本研究を通じて心臓CTのCAMS評価が心筋核医学との融合の可能性を示す研究を行えたと考える。
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