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2020 年度 実施状況報告書

膠芽腫におけるグリオーマ幹細胞の高分布領域の同定に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K08004
研究機関岩手医科大学

研究代表者

別府 高明  岩手医科大学, 医学部, 教授 (70275543)

研究分担者 寺崎 一典  岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 准教授 (60285632)
藤原 俊朗  岩手医科大学, 医学部, 助教 (60405842)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード膠芽腫 / 腫瘍幹細胞 / PET / CD133
研究実績の概要

「目的」膠芽腫において低酸素トレーサ18F-FRP170(FRP170)とアミノ酸代謝トレーサ11C-methionine(MET)が重複して集積する箇所は増殖能が保持される中間低酸素領域であり、グリオーマ幹細胞(glioma stem-like cell, GSC)が高密度に存在するニッチであることを明らかにする。
「方法」10例の膠芽腫症例において、術前にpositron emission tomography(PET)でFRP170とMETの両トレーサが重複して集積する箇所およびそれぞれのトレーサの単独集積箇所を描出し、腫瘍摘出術の際にそれぞれの箇所の腫瘍組織を採取。得られた標本のパラフィン包埋標本を用いて、GSCのマーカーであるCD133、SOX-2、Musashi-1を免疫染色した。
「結果」まずHE染色標本で、両トレーサーの重複集積部位は単独集積部位に比べて、壊死と血管増生部が近接する組織像を有意に多く認めた。CD133、SOX-2、Musashi-1のそれぞれの陽性腫瘍率は、両トレーサー重複部が単独集積部よりも有意差はないが高値を示した。これらの陽性細胞は、壊死周囲、血管周囲、血管内皮でニッチ(本研究では、低倍率で10個以上の陽性細胞を認めた場合にニッチと定義した)となっていた。              「結論」膠芽腫において、低酸素細胞トレーサFRP170とアミノ酸代謝トレーサMETの重複集積部位は、GSCの高集積部位であることが示唆された。両トレーサの重複部では壊死と血管増生部の近接する組織を多く含んでいることが、同部でGSCが高密度である一つの理由である可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19パンデミックのためか患者登録が予想以上に遅延しているため、現在保管されている標本を使用した免疫染色の実験のみ施行している。

今後の研究の推進方策

現在までの研究で明らかになったことは、①FRP170とMETの両トレーサの重複集積部では壊死と血管増生部の近接する組織を多く含んでいる、②GSCは壊死近傍、血管近傍、血管内皮でニッチとなっていた、③重複集積部は単独集積部よりGSCを高密度に含有している組織、である。これらの結果から、まず壊死近傍で出現したGSCが壊死近傍の血管増生に関与あるいは自らが壊死近傍で血管内皮に分化し血管増生を開始するメカニズムが推測された。この推測を明らかにするために、保存している標本の連続切片を用いて、GSCと血管内皮増生のマーカーであるα-smooth muscle antigenを免疫染色し、両者の関係を観察する計画を立てている。

次年度使用額が生じた理由

新規患者の登録が進まずfreshな腫瘍組織を得ることができなかったことから、予定していたwestern blottingおよび腫瘍細胞培養によるneurosphere作成の実験ができなかったことにより、実験薬剤や機材の購入が滞ったため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Primary Plasmacytoma in the Cerebellum: A Case Report and Literature Review2020

    • 著者名/発表者名
      Yanagihara Wataru、Beppu Takaaki、Ogasawara Yasushi、Ito Shigeki、Sato Yuichi、Sugai Tamotsu、Ogasawara Kuniaki
    • 雑誌名

      World Neurosurgery

      巻: 134 ページ: 10~13

    • DOI

      10.1016/j.wneu.2019.10.036

    • 査読あり
  • [学会発表] 膠芽腫における低酸素細胞トレーサー18F-FRP170集積部位の腫瘍内環境2021

    • 著者名/発表者名
      別府髙明、佐藤雄一、佐々木敏秋、寺崎一典、藤原俊朗、小笠原邦昭
    • 学会等名
      第44回日本脳神経CI学会
  • [学会発表] 1C-methionine PETはテモゾロマイド維持療法終了の判断とその後の予後予測に有用か2020

    • 著者名/発表者名
      別府髙明、佐藤雄一、小笠原邦昭
    • 学会等名
      第79回日本脳神経外科学会総会
  • [学会発表] 11C-methionine PETはテモゾロマイド維持療法終了の決定2020

    • 著者名/発表者名
      別府髙明、佐藤雄一、小笠原邦昭
    • 学会等名
      第38回日本脳腫瘍学会

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公開日: 2021-12-27  

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