研究課題
本研究は、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)で行った「上咽頭癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)の多施設共同第II相試験(JCOG1015)」の線量体積ヒストグラム(DVH)と患者データを用いて、晩期有害事象と正常臓器の線量効果関係を明らかにする研究である。2020年度、2021年度には、これらのデータを基に、内耳Dmean(平均線量)、甲状腺Dmean、水晶体Dmean、眼球Dmax(最大線量)、視神経Dmax、耳下腺Dmedian(中央線量)、耳下腺Dmean、中下咽頭収縮筋Dmean、喉頭Dmean、頸髄Dmax, 頸髄D1cc(1cc線量)、脳Dmax, 脳D1cc、脳幹Dmax, 脳幹D1ccなどのDVH因子と臓器特異的晩期有害事象との線量効果関係を検討した。その結果、脊髄炎G1以上と脳幹D1cc≧55.8Gy、中枢神経壊死G1以上と脳D1cc≧72.1Gy、聴覚障害G2以上と内耳Dmean≧44Gy、中耳炎G2以上と内耳Dmean≧51.5Gy、および視神経障害と眼球Dmax≧36.6Gyとの間に有意な線量依存関係が確認された。また、嚥下障害G2以上と中下咽頭収縮筋Dmean ≧41.2Gy、および甲状腺機能低下G1以上と甲状腺Dmean ≧45.6Gyとの間に線量依存傾向がみられた。JCOG1015では聴覚障害・中耳炎、脊髄炎の頻度が比較的高く、内耳および脳幹線量で線量依存性が見られたため、内耳、脳幹線量のさらなる低減が望ましいと考えられた。以上の結果は、2021年11月にオンライン開催された第34回日本放射線腫瘍学会で発表した。その後データを詳細に検討し、2022年10月に第64回米国放射線腫瘍学会で発表し、最終的に英文原著論文としてRadiat Oncol 17, 133, 2022に掲載された。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
Radiotherapy and Oncology
巻: 180 ページ: 109491~109491
10.1016/j.radonc.2023.109491
Radiation Oncology
巻: 17 ページ: 133
10.1186/s13014-022-02105-3
Journal of Clinical Oncology
巻: 40 ページ: 1980~1990
10.1200/JCO.21.01293