研究課題/領域番号 |
20K08010
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
高木 治行 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (30378377)
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研究分担者 |
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10441247)
山門 亨一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20263022)
児玉 大志 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20422834)
鈴木 亮佑 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (80611540) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝動脈塞栓術 / 肝癌 / 塞栓物質 / siRNA / HIF-1 / PD-L1 |
研究実績の概要 |
ラット肝癌モデルを作製し、肝動脈塞栓術を行い、塞栓術後の肝癌サンプルを用いた免疫染色を行った。この結果、塞栓術後の残存肝癌では、低酸素誘導因子依存的に、Programmed Cell Death 1 Ligand 1(PD-L1)の発現が増加していることが明らかになった。この結果より、低酸素誘導因子やPD-L1を標的とする塞栓物質の開発を行う方針とした。 2020年度は、siRNAを封入・徐放可能な塞栓物質の作製を行った。生分解性高分子:ポリ乳酸グリコール酸共重合体を素材とし、マイクロ流路システムを用いて、塞栓物質を作成した。作成した塞栓物質は、およそ100um~500umのサイズであり、マイクロ流路システムを通過する際の流速、ポリ乳酸グリコール酸共重合体の濃度、添加するPolyvinil Alcholの濃度により、異なる粒子径の塞栓物質が得られた。本研究ではラット肝癌モデルを用いるため、80um-100um程度の粒子径となるように、作成条件を工夫した。作成した塞栓物質を用いてラット肝癌モデルに対する動脈塞栓術を行ったところ、良好な塞栓効果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット肝癌モデルを用いた検討により、動脈塞栓術後の残存肝癌では、低酸素誘導因子依存的にPD-L1の発現が増加することを明らかにした。また、生分解性高分子:ポリ乳酸グリコール酸共重合体を素材とする塞栓物質の作製にも着手し、本研究で用いるのに最適な塞栓物質の作成条件についての検討も行った。よって、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、低酸素誘導因子やPD-L1を標的とするsiRNAを経動脈的に投与し、標的遺伝子の発現が抑制されるかどうか、また腫瘍の増大を抑えることができるかどうかについての検討を行う。また、これらのsiRNAが生体内でガン細胞に取り込まれているかどうかを、蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡を用いて観察する。さらに、ポリ乳酸グリコール酸共重合体を素材とする塞栓物質にsiRNAを封入た新しい塞栓物質を作成し、その効果を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 実験試薬の購入に際し、次年度使用額が生じた。 (使用計画)研究に必要な試薬の購入に使用を予定している。
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