研究課題/領域番号 |
20K08011
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
山本 亮 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30319959)
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研究分担者 |
玉田 勉 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40278932)
檜垣 篤 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90454850)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機能的MRイメージ / 糖尿病性腎症 / 慢性腎障害 |
研究実績の概要 |
早期糖尿病性腎症の診断は、現時点では尿中アルブミン尿とeGFRで評価されているが、新たな診断指標が必要とされている。 本研究の目的は、早期の糖尿病性腎症の評価において、マルチパラメトリックMRI所見の有用性を確認することである。 研究対象者(N=58)は、早期糖尿病性腎症患者35名と健常ボランティア23名であった。すべての症例は、3テスラMRI装置を用いて非造影MRIを受けた。測定指標は、腎皮質と腎髄質のT1値、T2値、BOLDイメージング(T2*値、R2*値)、 IVIMイメージング(ADC、f、D*、D値)、 ASL(早期血流)、およびマルチTIを用いたIRパルスによるSSFPでの最適TI値、反転TI値、最適TIでの皮髄コントラスト比(CMR=皮質の信号強度(SI)/髄質のSI)のTI)の合計21のパラメータで、これらの指標を健常者群と早期糖尿病性腎症群間で比較した。 結果は、健常者と早期糖尿病性腎症群の間で、皮質のT2値(平均±SD:101.28±9.59msec vs 107.76.0±1群1.39msec; p=0.041)、IRパルスを用いたSSFPでの反転TI(平均±SD:1240.9±66.6msec vs. 1278.6±62.2msec;p=0.029) および最適TI(平均±SD:1395.5±72.2msec vs. 1437.1±70.0 msec;p=0.019 )で、有意な差が認められた。その他の18項目については、健常者群と早期DN群との間に有意差は認められなかった。 現時点での結論として、皮質のT2値とマルチTIを用いたIRパルスによるSSFPから得られる指標は、早期糖尿病性腎症における腎皮質の糸球体高血圧関連変化を感度よく捉え、非侵襲的かつ短時間で早期糖尿病性腎症の評価に用いることができる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ蔓延のため、研究期間前半の患者リクルートが当初の計画より遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は早期糖尿病性腎症のみならず、糖尿病性腎症ステージ1-5の各群と健常者群の6群でMRIパラメータを比較することにより、さらに詳しく糖尿病性腎症の診断、ひいては進行に伴う病態解明を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ蔓延の影響で国際学会などでの研究発表ができなかったため 次年度使用額は International Society for Magnetic Resonance in Medicine (ISMRM)をはじめとした国際学会での成果発表の旅費や学会参加費用として使用する予定。
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