| 研究課題/領域番号 |
20K08014
|
|---|
| 研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
|---|
研究代表者 |
宮脇 信正 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 主任研究員 (90370478)
|
|---|
| 研究分担者 |
渡辺 茂樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員 (10450305)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | サイクロトロン / ビームエネルギー / RI製造 / アスタチン |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究は、サイクロトロンで加速したヘリウム（He）ビームをビスマス（Bi）ターゲットに照射して製造されるアスタチン（At-211）について、At-210の混入防止とAt-211の収量の最大化に必要な高精度ビームエネルギー制御技術の開発を目的に実施した。令和4年度は、ビームエネルギー制御に最適なパラメーターを得るため、サイクロトロンの磁場、加速電圧、加速RF位相をパラメータにとして変えて、ビームエネルギーとAtの生成率を測定する実験を実施した。
1) サイクロトロン内を周回するビーム軌道の中心を変化させる磁場を生成するハーモニックコイルの励磁電流が、他のパラメーターに比べ最もリニアにビームエネルギーを変更できることを見出した。
2) ハーモニックコイルの励磁電流によるビームエネルギーの変化は、生成された磁場の強さとビーム軌道の中心の位置変化の方向の関係で決まり、ビームエネルギーは1％以上変化できることがわかった。
3) 上記のパラメーターによってエネルギーを変更した一部のHeビームをBiターゲットに照射し、これに対してGe半導体検出器を用いたγ線測定からAt-211及びAt-210の定量分析を行った。その結果、本エネルギー制御技術によってAt-210が生成せずにAt-211の生成率が高い条件で照射できることを確認した。
本成果は、サイクロトロンからのビームエネルギーを連続的に変更できることを実証したものであり、ビームエネルギーに敏感なRI製造において重要な技術であり、加速器科学として学術的意義がある。
|
