過去に脳外科手術の術前用に撮像されたtractography用の拡散強調画像(MPG64軸)を用いて、少ないMPGデータから本来は撮像で得られるはずの拡散強調画像をAIで生成するプログラムの開発した。解析対象は、Q-ball imaging(MPG64軸)を撮像した脳外科手術術前患者および健常人ボランティア271例のデータ。191例をtraining、30例をvalidation、50例をtestデータとした。学習モデルは3D U-netを用い、b0画像と前半MPG32軸を入力データ、 後半MPG32軸を教師データとして学習を行い、後半MPG32軸を予測データとして出力するAIを開発した。AIにより生成された予測データと実際に撮像したデータの原画像としての一致度を、SSIMを用いて評価した。また錐体路tractography描出における一致度をDSCを用いて評価した。平均SSIMは0.964であった。またtractographyの平均DSCは入力データ:0.746に対して入力+予測データ:0.771と向上した。これらはWilcoxonの符号付順位和検定においても有意差(p=0.0269)を認めた。この結果から、前半MPG32軸のデータのみ得られた場合、このAIを使用し、後半のデータを追加することで描出能を向上できることが明らかになった。 また、この研究に伴ってMPG配列の最適化(検査が中断してしまった場合でも空間的拡散情報を均一に収集できるMPGパルス)を検討した。評価は、orientation distribution function(ODF)の類似度を評価するACCやJSCを用いて評価した。考案した方法は従来法(Jones法)に比べて、どの時系列においても有意に空間的拡散情報を均一に収集できていることがわかった。
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