研究課題
長期に吸入したたばこ煙などの有害粒子により、気道の炎症反応が増強かつ慢性化する。その結果正常な肺組織構造が破壊され、気腫性病変や末梢気道の線維化によって、肺の静的(安静時)、動的(労作時)過膨張や進行性の気流制限に至り、患者は労作時呼吸困難などの症状をきたすとされてきた。気道炎症がどの末梢気道構造変化部位に、もしくは炎症と無関係な末梢気道構造変化がどう生じ進行するのか、PRM-CT法と(FDG)-PETを用いて、それらの画像を融合させ、気道・肺病変の関係を同一時空間で解析することを検討した。現時点で22症例が登録された。患者背景は男性16例、平均年齢74.0±7.3歳、平均BMI 22.7、喫煙歴は非6例、現喫煙6例、過去喫煙12例であった。平均喫煙本数は43.5PY、粉塵吸入歴は4例に認めた。呼吸器疾患の内訳として、COPD9例、ACO3例であった。いずれも肺癌を合併例である。全例吸気・呼気CTを同時に撮影し、PRM法を用いて正常、肺気腫、機能的微小気道病変(fSAD)を定めて定量化を行ない、各症例毎に正常、肺気腫、fSADそれぞれの部位のボクセル毎のCT値を元に、画素ごとに比重を測定し、PETのSUVを補正(正規化)した。また画素数も算出しており、それぞれ正規化したSUV値と画素数との積、気流制限、自覚症状、基本チェックリストなどの臨床的パラメーター各項目との関連性を統計解析を試みている.また腫瘍部位のFDG集積を取り除くために手動でトリミングを行い画像処理を行った。各症例において正規化されたFDG集積を正常肺、fSAD領域、気腫肺領域で平均値を算出することができた。これらが自覚症状や呼吸機能検査結果からの気流制限、喫煙との関連について統計解析を行い、最終的に研究報告書で発表する。