研究課題/領域番号 |
20K08026
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
西山 佳宏 香川大学, 医学部, 教授 (50263900)
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研究分担者 |
三田村 克哉 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20715081)
山本 由佳 香川大学, 医学部, 准教授 (30335872)
羽場 礼次 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (90304584)
畠山 哲宗 香川大学, 医学部, 助教 (90602805)
則兼 敬志 香川大学, 医学部, 助教 (90623223)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PET / 脳腫瘍 / 神経炎症 / 腫瘍増殖 |
研究実績の概要 |
脳腫瘍にPET分子イメージングを応用し、従来の画像診断と比べて、脳腫瘍の悪性度(グレード分類)、遺伝子変異予測、膠芽腫の予後評価などのさらなる精度向上を目指す。脳腫瘍における反応性アストロサイトを18F-THK5351で評価し、膠芽腫細胞の増殖能評価(18F-FLT)とも組み合わせ、悪性度や予後評価が向上できるのかを検討する。 まず、脳腫瘍の評価に18F-THK5351が可能かどうかを判断するために、脳腫瘍患者の治療前に18F-THK5351 PET検査を実施した。撮影は静注50分後から頭部を20分間撮像した。その結果、脳腫瘍部分に一致して18F-THK5351集積を認め、脳腫瘍の陽性描画が確認された。 つぎに、脳腫瘍の評価に用いられるMRI検査と比較検討した。対象は高悪性度神経膠腫が疑われた5症例で、治療前に18F-THK5351 PET/CTと造影MRIを施行した。評価方法は腫瘍部分のSUV、腫瘍と正常脳実質の集積比(T/N比)を測定した。18F-THK5351の集積する領域とMRIで造影される領域の体積を測定した。結果は18F-THK5351 PETでは全症例が陽性描出された。SUVは1.91±0.66、T/N比は5.38±1.32であった。18F-THK5351の集積体積(111.3±46.7cm3)はMRIで造影される体積(57.3±23.5cm3)より有意に大きかった(p < 0.05)。18F-THK5351の集積体積とMRIで造影される体積は強い相関関係を示した(r = 0.9、p < 0.04)。 従って、18F-THK5351 PETで高悪性度神経膠腫の描出が可能であり、また、18F-THK5351が集積する体積はMRIで造影される体積よりも大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経炎症を評価できる18F-THK5351が脳腫瘍患者で陽性描画できることが確認できた。そして、当初の目的である18F-THK5351 PET検査が脳腫瘍患者の数例に実施できており、造影MRI検査との比較検討も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は脳腫瘍患者に18F-THK5351 PET検査が実施できた。今後も脳腫瘍症例で18F-THK5351 PET検査が行えるようにする。また、細胞増殖能の評価が行える18F-FLT PET検査をあわせて実施し、神経炎症と細胞増殖能のPET画像評価での相互関係、また、手術症例では悪性度評価など病理学的検討をしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張が取りやめになったため (使用計画) 学会出張費に充てる
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