研究課題
脳腫瘍にPET分子イメージングを応用し、従来の画像診断と比べて、脳腫瘍の悪性度(グレード分類)、遺伝子変異予測、膠芽腫の予後評価などのさらなる精度向上を目指す。脳腫瘍における反応性アストロサイトを18F-THK5351(THK5351)で評価し、膠芽腫細胞の増殖能評価(18F-FLT)とも組み合わせ、悪性度や予後評価が向上できるのかを検討する。11C-methionine(MET)はアミノ酸代謝を反映し、脳腫瘍の評価に広く用いられている。一方、THK5351のターゲット分子はMAO-Bと同定され、グリオーシスとの関連も示唆されている。本研究の目的は、THK5351 PETとMET PETで膠芽腫と転移性脳腫瘍の集積を評価することである。治療前にTHK5351 PET/CTおよびMET PET/CTを行った41例の患者(膠芽腫:30例、転移性脳腫瘍:11例)を対象とした。半定量的に腫瘍のSUVmaxおよび正常脳との集積比(T/N比)を算出した。結果はTHK5351 PETでは膠芽腫のSUVmax(平均 2.48)は転移性脳腫瘍(平均 1.80)より有意に高かった。また、膠芽腫のT/N比(平均 7.81)も転移性脳腫瘍(平均 5.14)より有意に高かった。MET PETではいずれも有意差は見られなかった。結論として、THK5351 PETは膠芽腫と転移性脳腫瘍の鑑別に有用である可能性が示唆された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Journal of Neuro-Oncology
巻: 166 ページ: 195~201
10.1007/s11060-023-04534-w