研究課題/領域番号 |
20K08031
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 浩 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20360357)
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研究分担者 |
小島 隆生 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50807469)
久保 均 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00325292)
高橋 和弘 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20370257)
石井 士朗 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90508813)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PET / PET/MRI / O-15標識ガス / 脳血流量 / 脳酸素摂取率 / 脳血管障害 |
研究実績の概要 |
今年度は、慢性期の閉塞性脳血管障害の患者を対象にしたPET/MRI装置を用いたO-15標識ガスPET検査による脳循環代謝諸量の測定を施行すると共に、閉塞性脳血管障害の病態解析に必要な正常データベースの構築を行った。また、構築した正常データベースを用いて、閉塞性脳血管障害の病態解析において特に重要な脳酸素摂取率(OEF)における健常者での脳内局所差の詳細な解析を行った。9名の男性健常者を対象に、PET/MRI装置を用いてO-15標識ガス定常吸入法による脳血流量(CBF)、脳血液量(CBV)、OEF、脳酸素消費量(CMRO2)の測定を施行し、PETの減弱補正はDixon法で行った。SPM8を用いてPET画像を解剖学的に標準化し、関心領域を脳内各部位に設定した。OEF は橋(0.28±0.08)、視床(0.36±0.06)、海馬傍回(0.33±0.08)で大脳皮質域(0.38-0.44)よりも有意に低く、大脳皮質域の中では外側後頭葉(0.44±0.06)で高い傾向がみられた。OEFの脳内局所差に与える誤差要因をシミュレーションで評価したところ、水の分布容積の脳内局所差による誤差は2%以下、灰白質-白質の組織比率の脳内局所差による誤差は1%以下であった。OEFの脳内局所差に与えるもう一つの誤差要因であるレーサー到達時間の脳内局所差についてはO-15標識ガス定常吸入法では考慮する必要はなく、今回観察されたOEFの脳内局所差は生理的なものであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性期の閉塞性脳血管障害の患者を対象にした統合型PET/MRI装置を用いたO-15標識ガスPET検査による脳循環代謝諸量の測定法を施行中である。また、脳循環代謝諸量の正常データベースの構築とその詳細な解析を施行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
3年目以降は当初の研究計画に沿って、閉塞性脳血管障害の患者を対象に、1年目の研究で確立した統合型PET/MRI装置を用いたO-15標識ガスPET検査による脳循環代謝諸量の測定を施行する。画像解析も2年目の研究で構築した正常データベースを用いて、患ボクセル単位および関心領域単位での病態評価を行う。この際、MRIにより同時に測定された脳循環代謝関連情報、特に、水拡散の異常を来す脳虚血性病変およびその周辺部位をはじめとする病変の酸素需給等の脳循環代謝病態を中心に解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内学会への会場参加は限定され、国際学会についてはWebでの参加のみとなったため、旅費の使用額が予定より少なくなった。
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