研究課題/領域番号 |
20K08041
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
生駒 洋子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主幹研究員(定常) (60339687)
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研究分担者 |
小畠 隆行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 次長(定常) (00285107)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ダイナミック造影MRI / 血行動態 / 薬物動態解析 |
研究実績の概要 |
ダイナミック造影MRIは、対象組織における造影剤の濃度変化を画像化することで、血管新生により変化する腫瘍の血行動態を定量的に評価することができる。T2強調画像などで見られる解剖学的変化とは異なり機能的な変化を評価できるため、腫瘍の診断能向上や予後予測に役立つものと期待される。しかし、ダイナミック画像から血行動態パラメータを得るには時系列データに対する薬物動態学的解析が必要であり、血中造影剤濃度の時間曲線(血液入力関数)や高時間分解能、長時間の連続撮像が必要となることから、臨床画像診断での活用度は低い。そこで本研究では、機械学習の手法も取り入れ、短時間の造影MRI撮像データと血管や筋肉領域を示す解剖学的画像を用い、各領域の造影剤濃度変化パターンから腫瘍の血行動態を定量評価する手法を検討する。 令和2年度は、コンピュータシミュレーションにより、様々な血液入力関数や血行動態パラメータ値を想定したダイナミック造影MRIの模擬データを作成し、簡便な血行動態評価法の開発のための基礎的検討を行った。造影剤濃度の時間変化は血行動態パラメータに応じて異なるため、正常部位、腫瘍部位、筋肉などでは異なる濃度変化パターンを示す。その変化パターンからある特徴量を用いることで、複雑な薬物動態学的解析を行わず、血行動態パラメータを反映する指標を簡便に求めることができた。 次年度は、この濃度変化パターンの指標を活用し、腫瘍の血行動態定量法の検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床データに関する解析やディスカッション、学会等での情報収集は予定よりやや遅れているが、コンピュータシミュレーションによる解析法の検討は順調に進んでいる。今後は、シミュレーションにより確立された手法を実データに応用していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、ダイナミック造影MRIおよび解剖学的画像から、深層学習等の機械学習手法を用い、体幹部を血管、筋肉、正常部位、腫瘍部位等に領域分割する方法を検討する。さらに、各領域の濃度変化パターンを基に、腫瘍部位の血行動態を定量的に求めるための手法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は数値計算、画像処理に必要なPCやソフトウェア等の購入を予定していたが、これらを用いた解析を次年度も引き続き行うため、その際に最新バージョンのソフトウェアや必要な設備を追加で購入する。また、今年度は学会等の中止も多かったが、次年度以降は情報収集、成果発表等も行う予定である。
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