研究課題
今年度は脱髄モデルマウスの作製を中心に実施した。C57BL/6Jマウス(8週, オス)の脳にX線60 Gyを照射し、経時的に観察を続けた。照射24週経過後、脳組織をサンプリングし、HE染色にて観察した結果、大脳皮質の一部に淡明化が認められた。対照実験として、中枢神経系において脱髄を誘導することが知られているクプリゾンを餌に混ぜて与えたマウスを作製した。投与後4週目に、オープンフィールド行動試験を実施した結果、コントロール(正常)マウスは、部屋の辺縁や中心部で一定の歩行をするのに対し、クプリゾン投与マウスはそれと比較して、壁周辺の探索行動の有意な増加と中心部に滞在する時間の減少が認められた。また、投与してから12週経過後に一時的なてんかん様の症状が認められた。20週経過後に脳組織をサンプリングし、HE染色にて病理的変化を調べた。その結果、大脳皮質および海馬において、細胞の欠損が認められた。現在、X線照射マウスおよびクプリゾン投与マウスにおける組織の詳細な解析を進めている。また、これらのin vivo実験と併せて、正常のヒト神経幹細胞を用いたオリゴデンドロサイトの培養を試みている。次年度は、この細胞を用いてオリゴデンドロサイトの放射線感受性について調べる予定である。昨年度に引き続き、他の業務との兼ね合いによるスケジュールの大幅な変更や人員確保の問題から、研究が遅延している。次年度は、研究が円滑に進むよう調整していきたい。
4: 遅れている
他の業務との兼ね合いによるスケジュールの大幅な変更や人員確保の問題から、研究が遅延している。
放射線照射マウスおよびクプリゾン投与マウスにおける組織の詳細な解析、および、正常ヒト神経幹細胞を用いたオリゴデンドロサイト培養細胞における放射線感受性の解析を中心に行う予定である。
他の業務との兼ね合いによるスケジュールの大幅な変更や人員確保の問題から、予定していた実験が進められなかったために残額が生じた。次年度は研究が円滑に進むよう、本助成金を活用して研究支援者を雇用したいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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