研究実績の概要 |
11名の肺高血圧症(PH)、9名の肺高血圧症を伴わない膠原病関連間質性肺炎(CTD-IP)、11名の対照群(CS)の3群にて、滋賀医科大学放射線科と共同研究契約を締結しているキャノンメディカルシステムズ社が開発した超高精細CT画像から従来CTと同様の空間分解能の画像を合成できる技術を用いて、SHR modeで撮影した画像から従来のCT(NR mode: 512matrix, 0.5mm厚)と同程度の空間分解能を有すると考えられる画像を合成した。単一のCT値閾値(-720HU)による二値化データをもとに計測した胸部単純CTにおける断面が5mm2以下の小血管断面積の肺野に占める割合(%CSA)と平均小血管断面積(AVD)の2つの定量指標が、肺高血圧症の程度により、SHR modeとNR modeでどのような差異が生じるかを検討した。%CSAでは、SHR modeの2-5mm2のサイズで、PHがCTD-IPより小さい傾向を示すのみであり、NR modeでは3群間の差や肺動脈圧(PAP)との関連を認めなかった。対して、AVDでは、SHR modeにおいて、0-0.5,0-1,0-2,0-5mm2のいずれのサイズでも、PHの計測値がCSより小さく、CTD-IPより小さい傾向を示した。一方で、NR modeにおいては、三群の計測値に差を認めなかった。さらに、AVDでは、SHR modeにおいて、0-1,0-2,0-5 mm2のいずれのサイズでも、平均PAPと負の相関を、0-2mm2のサイズでは、収縮期PAPとも負の相関を示した。NR modeにおいては、どのサイズの計測値も、平均及び収縮期PAPとの間に有意な相関関係を認めなかった。0-2mm2のSHR modeにおけるAVDは、肺高血圧症の有無や程度の検出に有用であると考えられる。
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