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2021 年度 実施状況報告書

物理学的手法と生物学的手法の併用による腫瘍核医学の効果最大化とリスク最小化

研究課題

研究課題/領域番号 20K08053
研究機関長崎大学

研究代表者

工藤 崇  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (20330300)

研究分担者 井手口 怜子  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10457567)
西 弘大  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10719496)
福田 直子 (森田直子)  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 技術職員 (90380972)
鈴木 啓司  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (00196809)
上谷 雅孝  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40176582)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードFDG / 放射性ヨウ素 / DNA損傷 / 核医学治療 / 腫瘍 / 被ばく
研究実績の概要

2021年度においては、2020年度に行った、管理学的・生物学的推定を継続するとともに、物理学的・生物学的手法の検討のための準備を行った。
管理学的手法については、I-131病室入院者において、実効半減期(クリアランス)の予測の研究を継続した。クリアランスに相関するパラメーターとして、昨年明らかになっていたeGFRに代表される腎機能に加えて、腫瘍サイズ、治療前後の血中Levothyroxiine値、および治療4週後のT3値が認められた。腫瘍サイズの評価および腎機能の事前測定によって被ばく量のある程度の推定が可能であり、また治療前の投薬の影響も明らかとなった。一方で、治療4週後のT3値とクリアランスの相関の原因については説明が困難であるため、追加の検討を行っている。
また、生物学的推定については、F-18 FDG PET検査時におけるDNA損傷と被ばく量パラメーターの関係についての検討を行った。前年度に被ばく量推定の手法をγH2AX測定からリンパ球の染色体形態変化の測定による方法に切り替え、採血一日後の測定を行うこととなったが、1日後であっても信頼性が維持できることが明らかとなり、実務上の利便性が高いことが明らかとなった。約70例のデータが現時点で得られているが、FDG PET検査によってわずかな染色体異常が生じること、FDG投与前の異常染色体数の多寡によって被ばくに対する反応性が異なることが明らかとなった。前年度より明らかになっている、癌患者における被ばく前の異常染色体数の数の多さと合わせた検討が必要と思われた。また、核医学的手法の準備として、OLINDAの導入を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

核医学画像診断的手法において、2020年度予想以上に高額であったため、購入を行えなかった解析用ソフトウエアであるOLINDAについて、予算の確保が出来、2022年2月に導入することができた。過去収集されていたデータの解析に着手したが、2021年度中には結果を得るまでには至っておらず、遅れている。
一方、生物学的手法については、FDG PETによる被ばく状況とDNA損傷評価の検討のためのデータ収集が2021年度末に完了したため、2022年度は全データの詳細な解析を開始することができる。本検討については、長崎大学のみではデータ解析能力に不足があったため、広島大学の協力を得て、解析を行っており、ほぼ予定通りに進展していると考える。
管理学的手法に関しては、I-131入室患者の放射能クリアランスに関する研究がほぼ終了し、投稿段階に移行することが出来ている。追加の研究として、I-131入室患者の病室内環境放射能測定を行い、I-131治療の管理に必要な研究データを収集する予定である。

今後の研究の推進方策

放射線管理学的手法のうちI-131の部分はすでに学会発表を行った上で、投稿を行っている。追加の研究として、I-131入室患者の病室内環境放射能測定を行い、管理に有用なデータを得る研究計画の立案中である。生物学的手法についても、2021年度末でデータ収集を完了したため、2022年度はデータ解析、報告、発表の段階に移行する。生物学的手法に関しては、長崎大学の研究者のみでは詳細な染色体異常の測定が困難であるため、広島大学原爆放射線医科学研究所(原医研)との研究協力を行い、すでに協力体制が確立できている。核医学診断手法について遅れが見られるが、解析用のソフトウエアが予想外に高額で、購入に時間を要したことが主な原因であった。これは、2021年度末に導入に至っており、2022年度には研究の実施に移行できるものと思われる。研究者の1名(上谷雅孝)が令和3年度末で定年退官したため、研究者から外れているが、他の研究者によって問題なく研究は続行可能と考える。研究発表については、上述の通り複数の研究に関して、すでに論文作成段階に入ることが出来ていると考える。

次年度使用額が生じた理由

最大の理由は2021年度同様旅費が発生しなかったことによるものと考える。ほとんどの学会がWeb開催となったため、成果報告に関して旅費が発生しなかった。次年度使用額については、2022年度は研究終了年度であり、最終的な研究結果の解析、発表のための研究体制の充実が必要と考える。このための技術補佐員の雇用の人件費に利用することが主になると考える。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Sympathetic nerve abnormality in an adolescent patient with cardioinhibitory vasovagal syncope2021

    • 著者名/発表者名
      Kawano H, Sakai K, Kudo T, Arakawa S, Doi Y, Takei A, Fukae S, Maemura K.
    • 雑誌名

      J Cardiol Cases

      巻: 24 ページ: 230-233

    • DOI

      10.1016/j.jccase.2021.04.007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Inhibition of the Hepatic Uptake of (99m)Tc-Tetrofosmin Using an Organic Cation Transporter Blocker2021

    • 著者名/発表者名
      Nishi K, Kobayashi M, Kikuchi M, Mizutani A, Muranaka Y, Tamai I, Kawai K, Kudo T.
    • 雑誌名

      Pharmaceutics

      巻: 85 ページ: 1073-1073

    • DOI

      10.3390/pharmaceutics13071073

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Myocardial Metabolic Abnormality in a Patient With Uremic Cardiomyopathy2021

    • 著者名/発表者名
      Kawano H, Kudo T, Maemura K.
    • 雑誌名

      Circ J

      巻: 85 ページ: 1895-1895

    • DOI

      10.1253/circj.CJ-21-0401

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impact of COVID-19 on Cardiovascular Testing in the United States Versus the Rest of the World2021

    • 著者名/発表者名
      Hirschfeld CB, Shaw LJ, Williams MC, Kudo T, Einstein AJ et al. ; INCAPS-COVID Investigators Group.
    • 雑誌名

      JACC Cardiovasc Imaging

      巻: 14 ページ: 1787-1799

    • DOI

      10.1016/j.jcmg.2021.03.007

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Modalities for predicting events in patients with ICDs: Expanding the versatility of FDG PET2021

    • 著者名/発表者名
      Kudo T, Nessipkhan AE.
    • 雑誌名

      J Nucl Cardiol

      巻: 28 ページ: 478-480

    • DOI

      10.1007/s12350-021-02569-y

  • [雑誌論文] Usefulness of an artificial neural network for a beginner to achieve similar interpretations to an expert when examining myocardial perfusion images2021

    • 著者名/発表者名
      Chiba A, Kudo T, Ideguchi R, Altay M, Koga S, Yonekura T, Tsuneto A, Morikawa M, Ikeda S, Kawano H, Koide Y, Uetani M, Maemura K.
    • 雑誌名

      Int J Cardiovasc Imaging

      巻: 37 ページ: 2337-2343

    • DOI

      10.1007/s10554-021-02209-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comparison of the quantitative measurement of 18F-FDG PET/CT and histopathological findings in IgG4-related disease2021

    • 著者名/発表者名
      Tsuji S, Iwamoto N, Horai Y, Fujikawa K, Fujita Y, Fukui S, Ideguchi R, Michitsuji T, Nishihata S, Okamoto M, Tsuji Y, Endo Y, Shimizu T, Sumiyoshi R, Koga T, Kawashiri SY, Igawa T, Ichinose K, Tamai M, Nakamura H, Origuchi T, Kudo T, Kawakami A.
    • 雑誌名

      Clin Exp Rheumatol

      巻: 39 ページ: 1338-1344

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of COVID-19 Pandemic on Cardiovascular Testing in Asia: The IAEA INCAPS-COVID Study2021

    • 著者名/発表者名
      Kudo T, Lahey R, Hirschfeld C, et al.
    • 雑誌名

      JACC: Asia

      巻: 1 ページ: 187-199

    • DOI

      10.1016/j.jacasi.2021.06.002

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] PET核医学エキスパートセミナー:循環器2021

    • 著者名/発表者名
      工藤 崇
    • 学会等名
      日本核医学会第21回春期大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Radiation protection of cardiac SPECT and PET imaging2021

    • 著者名/発表者名
      工藤 崇
    • 学会等名
      IAEA Workshop on Cardiac SPECT, SPECT/CT and PET/CT in Clinical Practice including image processing and interpretation.
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Tips and Pitfalls in Nuclear Imaging for Cardiac Amyloidosis2021

    • 著者名/発表者名
      工藤 崇
    • 学会等名
      Cardiac Amyloidosis Read with the Experts in JAPAN
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Validation of quantitative parameters derived from 99mTc-GSA liver scintigraphy to evaluate liver function2021

    • 著者名/発表者名
      アルマン ネシプハン、工藤 崇
    • 学会等名
      第61回日本核医学会学術総会

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公開日: 2022-12-28  

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