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2021 年度 実施状況報告書

神経変性疾患と正常圧水頭症におけるMR解析を用いた脳脊髄液循環障害の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08068
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

佐藤 典子  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 放射線診療部, 部長 (10322017)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード特発性水頭症 / 神経変性疾患 / MRI
研究実績の概要

本研究では特発性水頭症患者(iNPH)や神経変性疾患患者の頭部MR撮像を行い、脳室/くも膜下腔の脳脊髄液や脳実質の体積と、脳内の鉄や自由水の分布、温度、水分子の異方性との相関を検索し、疾患ごとにiNPHとの類似性を検索すると共に、集学的アプローチにて疾患特異性の指標を明らかにして鑑別能向上をはかることを目的とする。主なMRの解析手法としては、拡散テンソル画像を用いて、自由水イメージFWI(free water imaging)という、異方性を持たない自由水を選択的に抽出する解析法を行う。神経変性疾患において、細胞変性や線維の障害をきたした部位、あるいは変性に伴う沈着物質がある部位に自由水が引き寄せられ、また鉄においても同様なことが生じるのではないかと我々は考えている。また同じ拡散テンソル画像のデータから血管周囲腔方向の拡散の程度の指標 であるALPS Indexを算出可能で、これはglympatic systemの指標になると考えられており、この解析もこの研究に有用と思われる。これらのことにより、今まで不明であった神経変性疾患における脳脊髄液の動態に障害を及ぼす要素を明らかにすることで、神経変性疾患の病態生理の解明や診断能向上、iNPHの病因究明、また将来の治療に貢献することが期待できる。
また同時に剖検脳もMRI撮像を行い、生前脳MRIと形態の比較をし、脳脊髄液の動態の推測の一助とする。もし剖検脳と生前MRでの脳の形態差異の程度と相関のあるMR解析パラメーターが明らかにできれば、どの要素が神経変性疾患にてglympatic systemの障害に影響を与えるかを示せ、iNPHの病因究明にも貢献すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで神経変性疾患患者60名(パーキンソン病21名、レビー小体性認知症5例、アルツハイマー病10例、進行性核上性麻痺5名、皮質基底核変性症2名、多系統萎縮症10名、脊髄小脳変性症9名)、正常ボランティア30名のMRIを撮像した。撮像機器は3TMRI (Philips Medical Systems, Best, the Netherlands)で、撮像シークエンスは、高分解能3DT1強調画像、拡散テンソル画像、QSM、T2強調画像、FLAIR画像である。また3例(NIID1例、アルツハイマー病1例、HDLS1例)の剖検脳のMRIの撮像も行った。

今後の研究の推進方策

患者の検査は引き続き行う。またMRIの拡散テンソル画像を用いて血管周囲腔方向の拡散の程度の指標 であるALPS Indexの算出法をマスターすることができたので、来年度はこの解析法も加えて検討していきたい。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響で、学会の出張が少なくなったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Gray matter structural networks related to 18F-THK5351 retention in cognitively normal older adults and Alzheimer's disease patients2021

    • 著者名/発表者名
      Shigemoto Yoko、Sone Daichi、Okita Kyoji、Maikusa Norihide、Yamao Tensho、Kimura Yukio、Suzuki Fumio、Fujii Hiroyuki、Kato Koichi、Sato Noriko、Matsuda Hiroshi
    • 雑誌名

      eNeurologicalSci

      巻: 22 ページ: 100309~100309

    • DOI

      10.1016/j.ensci.2021.100309

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chorea-acanthocytosis: Time-dependent changes of symptoms and imaging findings2021

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Fumio、Sato Noriko、Sugiyama Atsuhiko、Iijima Keiya、Shigemoto Yoko、Morimoto Emiko、Kimura Yukio、Fujii Hiroyuki、Takahashi Yuji、Nakata Yasuhiro、Matsuda Hiroshi、Abe Osamu
    • 雑誌名

      Journal of Neuroradiology

      巻: 48 ページ: 419~424

    • DOI

      10.1016/j.neurad.2019.11.006

  • [学会発表] Voxel-based correlation of 18F-THK5351 accumulation with gray matter structural networks in cognitively normal older adults.2021

    • 著者名/発表者名
      1.Shigemoto Y, Sone D, Maikusa N, Kimura Y, Suzuki F, Fujii H, Sato N, Matsuda H
    • 学会等名
      Alzheimer’s Association International Conference
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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