研究課題/領域番号 |
20K08069
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高浪 健太郎 東北大学, 大学病院, 講師 (90447160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心筋FDG集積 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルス感染の蔓延に伴い、年度前半に予定していた東北大学病院倫理委員会への申請を年度後半に行った。研究計画書、対象者への説明・同意文書、症例報告書、モニタリング計画書を作成し、倫理委員会のピアレビューを受けた。本研究では、虚血性心疾患の頻度が高く長期生存が期待される早期食道癌患者を対象としてFDG PET/CTの他に、負荷心筋シンチ、心エコー等の低侵襲な心臓検査を施行し、FDG PET/CTを用いた心臓疾患のスクリーニングに関する前向き研究を予定していた。倫理委員会のピアレビューの結果、当初の計画のままでは研究対象中の虚血性心疾患の有病率が極めて低い可能性があり、虚血性心疾患診断のゴールドスタンダードで被ばくを伴う負荷心筋血流シンチを施行する妥当性について疑義があった。また、予定していた必要症例数300例では統計解析で十分な解析を行うには症例数が不測する可能性があることを指摘された。そのため、研究対象の適格基準に、冠危険因子(男性、高血圧 [収縮期血圧130mmHg]、2型糖尿病、高中性脂肪血症[TG≧150mg/dL]、低HDL血症[HDL<40 mg/dL]、喫煙歴、肥満[BMI≧25])を追加することで、検査前の有病率を30%程度に高くし、必要症例数を低減した。また、当初は食道癌症例に限定していたが、肺癌症例も対象とすることで、十分な症例数を確保可能とした。次年度始めには東北大学病院倫理委員会の承認を取得し、症例の募集を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染が蔓延し緊急事態宣言が発令され、当該研究者が所属する研究施設での新型コロナウィルス感染拡大申しのための東北大学の行動指針(BCP)レベルも上昇した。それに伴い、各部局の管理体制による感染防止対策を徹底することで、研究活動を行うことはできるものの、現場での滞在時間を減らし、可能な場合は、自宅での活動が推奨された。さらに、学生講義・実習が軒並みオンラインで行うことになったため、その教材の作成、オンライン授業・実習に追われた。また、病院での新型コロナウィルス感染対策、新型コロナウィルス患者対応におわれ、研究活動が事実上行えなくなった。また、県をまたぐ移動が制限されたことにより、予定していた学術集会・研究会等への参加による情報収集、他研究者との討議ができなくなったことにより、研究を進めることができなくなった。 年度の後半からは、新型コロナウィルスの感染患者数が低下し、ようやく研究に取りかかることができるようになった。まず予定していた東北大学病院倫理委員会に提出する研究計画書、対象者への説明・同意文書、症例報告書、モニタリング計画書を作成した。当初の計画のままでは研究対象中の有病率が極めて低く、必要症例数が不測することを病院倫理委員会のピアレビューで指摘された。そのため、研究対象の適応基準に、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満等の冠動脈疾患のリスクファクターを追加することで、検査前の有病率を高くすることで、必要症例数を低減した。また、当初は食道癌症例に限定していたが、肺癌症例も対象とすることで、十分な症例数を確保可能とした。次年度始めには東北大学病院倫理委員会の承認を取得し、症例の募集を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
東北大学病院倫理委員会の承認を取得後、速やかに対象症例の募集を開始する。東北大学病院の倫理委員会承認後、下記基準を満たし、インフォームドコンセントが得られた症例を研究対象とする。登録期間を2021年4月から2024年1月とし、対象は食道癌また肺癌のステージングでFDG PET/CTが予定され、冠動脈疾患の臨床リスクが高い患者300例前後である。本研究のインフォームドコンセントが得られた場合、術前検査として一般的に施行される心電図、心エコー検査に追加して、低侵襲な負荷心筋血流シンチを施行する。主要評価項目として、負荷心筋血流シンチでの虚血の有無をゴールドスタンダードとした場合の心筋FDG集積パターンによる心筋虚血の診断精度を算出する。心電図や心エコー検査による診断精度と比較し、有意に高い場合には腫瘍診断目的のFDG PET/CTの心臓疾患のスクリーニング法としての臨床応用可能性を考える。副次評価項目として、心筋FDG集積パターンによる心筋虚血のリスク比、絶食時間の影響等を検討する。研究対象者登録を研究協力者の八嶋(当院総合外科)、渡辺(呼吸器外科)、心臓核医学検査(負荷心筋血流シンチ)を木曽(放射線診断科)、小田桐(主任放射線技師)、心臓生理学検査の評価を西宮(循環器内科)、FDG PET/CT検査を高浪(研究責任者、放射線診断科)、齊藤美穂子(放射線診断科)、小田桐(主任放射線技師)が担当する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染が蔓延し緊急事態宣言が発令され、当該研究者が所属する研究施設での新型コロナウィルス感染拡大申しのための東北大学の行動指針(BCP)レベルも上昇した。それに伴い、各部局の管理体制による感染防止対策を徹底することで、研究活動を行うことはできるものの、現場での滞在時間を減らし、可能な場合は、自宅での活動が推奨された。また、病院での新型コロナウィルス感染対策、新型コロナウィルス患者対応におわれ、研究活動が事実上行えなくなった。また、県をまたぐ移動が制限されたことにより、予定していた日本核医学会学術集会・米国/欧州核医学会学術集会等の学術集会・研究会等への参加による情報収集、他研究者との討議ができなくなったことにより、それらの旅費の使用がなくなった。年度後半からは新型コロナウィルス感染がやや落ち着いたため、研究計画作成、情報収集目的専用のコンピューターを購入し、倫理委員会申請のための研究計画書を作成した。倫理委員会のピアレビューでは、予定されていた臨床研究保険の加入は必要がないとのことから、当初予定していた臨床研究保険の費用が除外された。以上が、次年度使用額が生じた主な理由である。 次年度使用額は、当研究課題に関連する情報収集のための関連学会・研究会への参加費用、電算機用消耗品、薬剤購入費用等に使用する予定である。
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