研究課題/領域番号 |
20K08069
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高浪 健太郎 東北大学, 大学病院, 講師 (90447160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心筋FDG集積 / 負荷心筋血流シンチ / 心筋虚血 |
研究実績の概要 |
東北大学病院倫理委員会の承認を取得し、症例の募集を開始した。本研究では、長期生存が期待される早期食道癌、肺癌を対象としてFDG PET/CT検査が施行される患者の中で、(1)60歳以上の男女 (2)食道癌または肺癌治療前の検査としてFDG PET検査を予定されている。(3)以下の冠危険因子(男性、高血圧[収縮期血圧130 mmHg以上]、2型糖尿病、高中性脂肪血症[TG≧150mg/dL]、低HDL血症[HDL<40 mg/dL]、喫煙歴、肥満[BMI≧25])のうち3つ以上を有する。(4)本研究の内容を文書・口頭で説明し、本人が理解し文書による同意が得られる。(5)全身状態良好(PS2以下)を満たし、除外基準として(1) 胸部手術、胸部の放射線照射の既往 (2) 日程的に、食道癌または肺癌の治療前までに負荷心筋血流シンチが困難 (3) 通常診療でPET検査、負荷心筋シンチの対象外 ・妊娠および授乳に関する事項:妊婦および授乳中、または妊娠している可能性 ・過去に18F-FDG-PET検査でFDG投与に関連した副作用・アレルギーの既往 ・過去に負荷心筋血流シンチの薬剤に関連した副作用・アレルギーの既往 ・不安定狭心症、完全房室ブロック、喘息で治療中 (4) 狭心症を疑わせる胸痛がある。(5)以前に冠動脈CTで90%以上の冠動脈狭窄を指摘され無治療 を満たした症例を収集した。 2022年3月末で12例の症例を収集した。各症例は、FDG PET/CT検査の他に、心電図検査、負荷心筋血流シンチを施行した。一部の症例に、負荷心筋血流シンチで心筋集積に異常所見が認められた。さらに、それらの症例の一部に、異常な心筋集積に対応するFDG PETでの心筋集積が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
倫理委員会の承認後、研究協力者、大学院生と共同で、被験者の募集を開始したが、適格基準を満たす症例は認めるものの、同意を取り付けることが難しい傾向が認められ、当初の予定より症例の蓄積が遅延している。本研究では、追加検査として被験者に負荷心筋血流シンチを受けていただく事になっている。しかしながら、前年に続いて、新型コロナウィルス感染の蔓延が断続的に継続し、当該研究者が所属する施設でも感染拡大抑制のため不要・不急の検査の抑制が推奨された。そのため、本研究の適格基準を満たす被験者候補において、追加検査を受けることに躊躇があった可能性や、研究協力者にも被験者の研究への参加をためらう要因になった可能性がある。そのため、途中解析を行う程の症例は蓄積されていない。さらに、県をまたぐ移動が制限されたことにより、予定していた学術集会・研究会等への参加による情報収集、他研究者との討議ができなくなったことにより、研究を進めることに支障があった。一方、当初の計画では研究対象中の有病率が極めて低く、必要症例数が不測することを病院倫理委員会のピアレビューで指摘されたため、研究対象の適応基準に、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満等の冠動脈疾患のリスクファクターを追加した。そのことにより、現在収集されている症例がまだ少数であるにも関わらず、比較対照となる負荷心筋血流シンチにおける心筋異常集積を示した症例が少なからず認められ、研究対象の適格基準を変更したことが功を奏したと考えられ、解析に必要な症例数の抑制が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、対象症例の募集を行う。適格基準を満たし、インフォームドコンセントが得られた症例を研究対象とする。登録期間は2024年1月までであり、対象は引き続き食道癌また肺癌のステージングでFDG PET/CTが予定され、冠動脈疾患の臨床リスクが高い患者である。本研究のインフォームドコンセントが得られた場合、術前検査として一般的に施行される心電図、心エコー検査に追加して、低侵襲な負荷心筋血流シンチを施行する。研究対象者登録を引き続き、研究協力者の八嶋(当院総合外科)、渡辺(呼吸器外科)が施行する。心臓核医学検査(負荷心筋血流シンチ)を木曽(放射線診断科)、小田桐(主任放射線技師)、心臓生理学検査の評価を西宮(循環器内科)、FDG PET/CT検査を高浪(研究責任者、放射線診断科)、齊藤美穂子(放射線診断科)、小田桐(主任放射線技師)が担当する。症例が蓄積された時点で、統計解析を行う。主要評価項目として、負荷心筋血流シンチでの虚血の有無をゴールドスタンダードとした場合の心筋FDG集積パターンによる心筋虚血の診断精度を算出する。副次評価項目として、心筋FDG集積パターンによる心筋虚血のリスク比、絶食時間の影響等を検討する。また、研究の途中結果を、日本医学放射線学会、日本核医学会、日本核医学会北日本地方会等で発表する予定である。できるだけ現地参加し、同研究分野の他研究者とディスカッションを行い、研究の進展に資する情報を収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析用のデスクトップコンピューターを購入し、画像データの解析の準備を行った一方、前年に続き新型コロナウィルス感染が継続し、まん延防止が発令され、当該研究者が所属する研究施設での新型コロナウィルス感染拡大防止のための施設の行動指針(BCP)レベルも上昇し、県をまたぐ移動が制限された。そのため、予定していた日本核医学会学術集会・米国/欧州核医学会学術集会等の学術集会・研究会等への参加による情報収集、他研究者との討議ができなくなったことにより、それらの旅費の使用がなくなった。以上が、次年度使用額が生じた主な理由である。 次年度使用額は、画像解析のための統計解析ソフトウェアの購入、当研究課題に関連する情報収集のための関連学会・研究会への参加費用、電算機用消耗品、薬剤購入費用等に使用する予定である。
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