研究課題/領域番号 |
20K08070
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石川 洋一 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助手 (60361200)
|
研究分担者 |
岩田 錬 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 名誉教授 (60143038)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | PET診断プローブ / マイクロ化 / 気液反応 / 自動合成 |
研究実績の概要 |
11C標識プローブ合成で最も頻繁に使用されている11C標識ヨウ化メチルを濃縮してマイクロ流路に導くことで、極微量の前駆体で効率的に標識反応を行う迅速なマイクロリアクターシステムを開発することを目的とする。使用する試薬量を従来法に比べ大幅に削減することで、小さな分析用のカラムによる迅速な精製が可能になり、高品質の11C標識プローブが得られるものと期待される。加えて、より反応性の高い11C標識メチルトリフレートに変換する銀トリフレートのマイクロ反応カラムを導入し合成操作を自動化することで、効率的で高品質な11C標識プローブ合成法の開発を目指す。 初年度では、以下の1-2の課題について研究を進め、次年度につながる成果を得た。 1.高濃縮冷却捕集装置の改良:冷却捕集ループモジュールを改良し、従来よりさらに数倍の濃縮された[11C]メチルトリフレートの捕集に成功した。捕集モジュールから高濃度の[11C]メチルトリフレートを溶出させ、これを極微量の合成前駆体と反応を行い、数十μLの反応液として回収することに成功した。 2.インジェクタ反応システム試作:6方バルブを組み合わせたHPLCインジェクタシステムを試作した。また、合成中に放射線による高線量の被曝を避けた、鉛遮蔽内の合成装置を遠隔操作で行うための専用インターフェイスと LabVIEW開発ソフトウエアを使用して合成制御プログラムを開発した。 以上の結果から、次年度では反応条件、精製システムでの精製条件の効率的な検討が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究施設での放射線施設の設備改修に伴い、放射性物質の使用実験が半年以上停止している。現在も、監督官庁による使用許可待ちとなっており、今年度の基礎実験が十分に出来ず一部実験を次年度へ延期した。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までに行ってきたことを継続して行いつつ、今年度中期には全体的なオンラインシステムの一体自動制御を行う装置類、[11C]MeI濃縮部、[11C]MeOTf変換カラム・ヒーター、HPLCポンプ・検出器システム、分離フラクション捕集部などを接続追加し、処理の自動合成装置をほぼ完成する。この装置を利用し、ループ反応および、オンカラム反応条件の最適化を効率的に完了する。また、マイクロ流路による、迅速な[11C]メチルトリフレート標識反応の捕集効率と反応収率の最適化に関して研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)次年度使用額は、当初計画していた[11C]放射性合成実験を行うために当該設備の十分なマシンタイムが確保できなかったことに加えて標識薬剤合成制御装置の不具合補修で、合成実験予定の一部を変更したことに伴い発生した未使用額であり、今年度請求とあわせて研究遂行に使用する予定である。 (使用計画)本研究の放射性合成実験を遂行する上での放射性物質製造に必要なサイクロトロン稼働の十分な優先マシンタイム確保に使用する。 マイクロ流路システムの構築と固相処理の自動生成装置の製作と、迅速な処理を実現するコンパクトなモジュールの試作および自動化を行う。
|