研究課題/領域番号 |
20K08072
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
村田 和俊 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 医長 (60644557)
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研究分担者 |
尾池 貴洋 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (10643471)
吉本 由哉 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80594390)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子宮頸癌 / 放射線治療 / 体細胞変異 / 抗腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
子宮頸癌の放射線治療は、良好な局所効果を誇るが、転移の出現により全生存率は低下する。これは全身治療の強化が必要と考える。放射線治療により活性化されたがん特異抗原に対する抗腫瘍免疫が治療効果に影響することが分かり、放射線治療と抗腫瘍免疫の関係を解明することは 免疫治療による全身治療の強化が期待される。我々は子宮頸癌放射線治療患者より得られた生検組織・抽出したDNAとホルマリン固定パラフィ ン包埋試料から抽出したDNAを用いて変異解析を行うことで、解析対象分子を数十種類から数百種類以上に増加させる。その結果、治療感受性 に関与する免疫と、それに影響する体細胞変異の関連をはるかに高次的に解明する。 本年度は2006年から2013年に群馬大学医学部附属病院で根治的放射線治療を受けた子宮頸がん患者を以下の条件で遡及的に抽出した。(I)進行期分類であるFIGO分類(2008年版)でStage IB1 - IVAである。 (II)病理組織診断で、扁平上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌のいずれかの病理組織診断が確定している。(III)放射線治療前に子宮頸癌に対する治療の既往がない。(IV)ホルマリン固定およびパラフィン包埋(FFPE)生検標本が保管されており、使用することができる。(V)カルテから患者背景や照射線量、治療期間などの必要な医療情報を参照することができる。(VI)放射線治療開始前と治療終了後の画像データが存在する。これらの条件に当てはまる患者は182名であり、そのうち166名からDNAの抽出に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 研究者が群馬大学からQST病院へ異動したために、研究環境の再構築を行う必要があったが、昨年のコロナ禍による移動制限のために患者情報を収集するためにQST病院のある千葉から群馬まで移動することが困難となり、当初の予定よりも進捗が遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の本研究では上記で抽出した患者のDNAを品質チェックを行い、(1)子宮頸癌における抗腫瘍免疫関連因子と治療感受性、予後の関連を解析し、(2)その結果から、抗腫瘍免疫応答に注目した遺伝子変異を予測し、新規コホートの遺伝子変異を同定することで独立した予後不良因子をvalidationする。 (3)特徴的な予後不良症例については、全エクソンシーケンスを行うことで、409がん関連遺伝子パネルに搭載されていない、特に免疫関連遺伝子の関与の有無を明らかにし、(4)ccfDNA(血中循環DNA)からのliquid biopsy検出系を構築することで、再発の早期発見、予後不良変異遺伝子保有群の同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスによる行動制限のために、直接群馬大学へ向かい患者情報や検体を用いた実験を行うことが困難となったため、QST病院の検体を使用して条件検討と予算に合ったDNA解析費用の項目検討をすることになった。急ぎ新規コホートの遺伝子変異を同定することで独立した予後不良因子のvalidationを確定させて、特徴的な予後不良症例については、全エクソンシーケンスを行い免疫関連遺伝子の関与の有無を明らかにする。
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