本研究の目的は、臨床応用に向けた画像生検法の改良研究を行うことで、非小細胞肺がん(NSCLC)の遺伝子変異(例:EGFR)に対応する画像不変特徴量を明らかにし、非侵襲的画像生検法を開発することである。 最終年度はがん抑制因子であるHOPX遺伝子の発現量とCT画像を関連付けるレディオゲノミクスシグナチャーを発見し、それに基づく画像生検を確立した。そして、その手法に基づき肺がん患者のHOPX遺伝子発現状況および予後予測を支援する手法を研究した。CT画像から遺伝子発現状態を検出することは、従来の生検精度向上に役立つと思われる。 次に、トポロジー解析を用いて転移性脳腫瘍の原発巣が肺がんかそれ以外かを識別する非侵襲的なMR画像生検法を研究した。脳転移腫瘍は原発巣と同様の特徴を持つため、原発巣によって化学療法で使用する薬剤、特に上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬等の分子標的薬が決定される場合がある。また放射線に対する感受性も原発巣によって異なるため、放射線治療の選択にも関係する。しかし、脳腫瘍の生検を実行することが難しい場合がある。そこで、提案するMR画像生検法は非侵襲的に原発巣を推定できる。 さらに、肺がんの体幹部定位放射線治療(SBRT)における再発リスクのある患者を層別化する画像生検法を提案した。その結果、腫瘍径とレディオミックススコアはSBRT後の再発を予測するために役に立つ可能性がある。
|