研究課題/領域番号 |
20K08086
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
廣川 直樹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30404718)
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研究分担者 |
奥田 洋輝 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40753140)
斉藤 正人 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70551109)
大谷 緋美 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10808158)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | radial force / 素線 / 1次径 / 反発力 / 血管塞栓率 / フレームコイル / 剛性 / 物理 |
研究実績の概要 |
Frameコイルとして適切な物理的特性を調べるために,径20mmの動脈瘤モデル内での3Dベアコイルの配置を定性的に確認した.さらに,2方向(topとside view)でX線透視撮影されたコイルをImage Jソフトで,コイル外周内面積,コイル外周円形度,瘤中心からコイル重心までの距離(中心重心距離)を定量的に評価した.中心重心距離のうち重力方向も検討に加えた. top viewでは,GDC,XL,XXLの外周面積,外周円形度は有意差はなかった.中心重心距離では,GDCとXLが有意にXXLよりも中心からの偏位が小さかった(P=0.003,P=0.013).side viewでは,外周面積は有意差がなかった.外周円形度は有意差はかろうじて認められないもののGDCがより円形に近かった(P=0.05).中心重心距離は,GDCが中心からの偏位が小さい傾向だったが有意差はなかった(P=0.10).一方,重力方向中心重視距離は,GDCがXL,XXLよりも有意に偏位が小さかった(P=0.000,P=0.003). 2次径別に,重力方向中心重心距離を比較した.18mmでは,GDCが有意にXL,XXLより重力方向への偏位は小さかった(P=0.031とP=0.004).20mmコイルでは,GDCとXXLが有意にXLよりも偏位が小さかった(P=0.009,P=0.004).24mmコイルでは,GDCが有意にXXLよりも偏位が少なかった(P=0.013). 今回の物理実験結果から,材質,ピッチ,形状が同一な3Dベアコイルの比較では,GDCコイルが瘤壁に沿って塞栓され,重力に負けずコイル形状が保持されることがわかった.既報告の反発力測定結果を踏まえると,素線径が大きく,1次径が小さいコイルが,radial force,形状保持性,瘤壁に沿った塞栓性を担保するFrameコイルとして適当であることを証明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は新型コロナ感染症の影響で,別施設(他県)で予定していた動物実験が不可となった.このため予定を変更して,H28年度の科研基盤研究Cの最終年度で報告した物理実験をより深めるために追加実験を行った.次年度は動物実験に取り組みたい.
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今後の研究の推進方策 |
【物理実験】塞栓直後に血流・血圧による圧潰を起こさない強いRadial forceを持つコイルが,瘤内の生体反応の端緒となり低VERでも再発がない塞栓法であろうと推察している.これまでの実験において,3次元ベアコイルの物理強度は判明し、素線径が太く一次径が細いコイルがフレームコイルに最適であることを証明したが、特殊なゲルでコイル1次径を太めるハイドロコイルAZUR,コイルピッチを埋めるAZUR CXの検討がない.塞栓直後と10分後にハイドロコイルと既報告のGDC,TARGET XL,同 XXLのRadial forceを比較する.また,コイル挙動を見るためにImageJソフトにて,コイル外周円形度,コイル外周面積,瘤中心-コイル重心距離の定量的に比較する.どのコイルが瘤壁に沿って塞栓され,血圧血流への反発力が強く,形状保持されるコイルなのか判定する. 【動物実験】イメージセンサー先端搭載ビデオ血管内視鏡カテーテル(Zemporshe:大正医科器械株式会社)により,どこに内膜が形成されるか、塞栓後瘤内の状況など、コイルとの関係性を直視で確認する(塞栓1週後・4週後).内膜形成性は,瘤頚部側でのコイルの位置,密度,形状(血管面にフラットか凹凸不整か),隣接する血管壁との関係,コイル種別が関係すると想定している.コイル種別では,3Dプラチナベアコイル,Fiberedコイル,ハイドロコイルのそれぞれを比較する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナ感染症の影響で,別施設(他県)で予定されていた動物実験ができなくなった.他施設での慢性動物実験では,比較的多くの経費がかかるため,次年度でコロナ禍が鎮静化されたときには計画通りに進むと考えている. 具体的には,株式会社アイビーテック神戸ラボ(神戸市)にて,ブタ頸動脈に多数の人工動脈瘤を作成したうえで,各種コイルの瘤内配置と内膜形成性を血管内視鏡で確認するとともに,数週間豚を飼育し組織学的な塞栓後動脈瘤の反応を慢性実験で確認する.これまでにも,同様の慢性期ブタ動物実験を複数回施行しており,1回の実験で120万程度の経費がかかることがわかっている.さらに交通費や宿泊費を合わせると,130万程度/1回が計上される.次年度は2回の動物実験を予定しているため,130万×2回=総額260万程度/令和3年度が計上される.
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