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2020 年度 実施状況報告書

COX-2の画像化を可能とするニメスリド誘導体の病態モデル評価

研究課題

研究課題/領域番号 20K08088
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

山本 由美  東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (70613446)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードCOX-2 / イメージング / ニメスリド / 標識合成 / 安定性
研究実績の概要

本研究は、代表者が見出した新規ニメスリド誘導体に着目し、国内外において未だ成功例のない、COX-2イメージング剤の開発を行うことを目的としている。
代表者のこれまでの研究において、ニメスリド誘導体はin vitro/in vivoともにCOX-2イメージング剤として望ましい挙動を示し、有力なCOX-2イメージング剤候補化合物であると結論付けられている。本研究は一連の研究の次の段階として、COX-2を発現する様々な病態モデルを用いて評価することで、ニメスリド誘導体のCOX-2イメージング剤としての有用性を明らかにし、臨床使用への可能性を探るものである。
当該年度において、新たに設計したニメスリド誘導体の基礎的評価を実施した。安定性の向上を期待したp-メチル誘導体、p-フルオロエチル誘導体のC-11標識およびF-18標識に成功し、正常マウスを用いたin vivo生体内分布、阻害実験、代謝物分析などの基礎的評価を実施した。しかしながら、いずれの化合物もマウス投与15分以内にほぼ代謝され、安定性に問題があることが明らかになった。
その一方で、評価を継続してきたI-125標識p-ヨウ素誘導体の投与後長期の安定性を評価したところ、投与24時間においても安定であり、投与6時間後に炎症部位への集積が最大であった予備的試験の結果を、化合物の化学形という観点から裏付ける有力な証拠を得ることができた。
現在は次年度の計画である「中枢を標的とした病態モデル動物による評価」のために、ex vivoオートラジオグラフィの条件を検討し、実施準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和2年度では、「新たに設計したニメスリド誘導体の基礎的評価」を計画した。具体的には、評価に使用する新規ニメスリド誘導体の合成と評価を下記の通り行うといったものであった。
p-メチル誘導体の11C標識は、-SnBu3体に対する[11C]CH3OTfを用いた [11C]メチル化反応により行い、p-フルオロエチル誘導体の18F標識は、-OH体に対する[K/222]+18F-を用いたフッ素イオン法により行う。標識合成後は、これまで評価してきたニメスリド誘導体同様、正常マウスを用いたin vivo生体内分布、阻害実験、代謝物分析などの基礎的評価を行う。
令和2年度の研究実施状況において、上記研究計画に含まれる実験をすべて行うことができ、既に令和3年度の研究計画への移行を始めていることから、(2)おおむね順調に進展している と判断できる。

今後の研究の推進方策

令和2年度において、当初の研究計画に従いおおむね順調に進展したことから、令和3年度においても当初の研究計画に基づき推進していく予定である。
令和3年度では、「中枢を標的とした病態モデル動物による評価」を計画した。具体的には、ニメスリド誘導体を用いて、中枢を標的とした病態モデル動物による評価を行う。
中枢を標的とした病態モデルでは頭部PETあるいはSPECTを撮像するほか、ex vivo評価として脳切片を用いたARG(オートラジオグラフィ)を行い、画像化してその分布を精査する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
次年度使用額は392,367円であり、おおむね予定通りに支出していると思われるが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、参加予定の学会がオンラインに変更となったり、出張しての実験が延期となったりして旅費が節約されたほか、消耗品の節約や値引きがあったため、残額が生じたものと思われる。
(使用計画)
翌年度以降に請求する研究費とあわせ、当初の計画通り物品費を中心として使用していく予定であるが、計画上、サイクロトロンを用いた実験なども含まれることから、出張旅費にも使用するとともに、論文としてまとめるために必要な謝金などにも使用していくことを視野に入れる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Involvement of APOBEC3B in mutation induction by irradiation2020

    • 著者名/発表者名
      Saito Yohei、Miura Hiromasa、Takahashi Nozomi、Kuwahara Yoshikazu、Yamamoto Yumi、Fukumoto Manabu、Yamamoto Fumihiko
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research

      巻: 61 ページ: 819~827

    • DOI

      10.1093/jrr/rraa069

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 物理系薬学部会シンポジウム 新進気鋭の研究者による物理系薬学分野の最先端研究 新規NSAIDs誘導体によるCOX-2イメージング2021

    • 著者名/発表者名
      山本 由美
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
    • 招待講演
  • [学会発表] Involvement of APOBEC3B in mutation induction by irradiation2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤 陽平、山本 由美、山本 文彦
    • 学会等名
      第63回日本放射線影響学会
  • [学会発表] 計算科学を用いた新規COX-2イメージング剤候補化合物の設計2020

    • 著者名/発表者名
      山本 由美、長内 亜有子、大石 陽平、齋藤 陽平、山本 文彦
    • 学会等名
      第59回日本薬学会東北支部大会
  • [学会発表] 企画専門委員会の活動 -令和2 年度 教育訓練講習会アンケート調査結果とその考察-2020

    • 著者名/発表者名
      馬田 敏幸、池田 岳紡、稲田 晋宣、北 実、小山 由起子、安井 博宣、山本 由美、和田 真由美、渡部 浩司
    • 学会等名
      令和2年度 放射線安全取扱部会年次大会
  • [学会発表] 葉酸修飾ラクトソームの構造最適化と腫瘍認識能評価2020

    • 著者名/発表者名
      針生 怜、岡田 美桜、牧野 顕、山本 由美、齋藤 陽平、山本 文彦
    • 学会等名
      第60回日本核医学会学術総会
  • [学会発表] COX-2イメージングを目的としたニメスリド[11C]Me/[18F]OFEt誘導体の開発2020

    • 著者名/発表者名
      山本 由美、多胡 哲郎、豊原 潤、齋藤 陽平、山本 文彦
    • 学会等名
      第60回日本核医学会学術総会
  • [備考] 東北医科薬科大学 薬学部 放射薬品学教室

    • URL

      https://www.tohoku-mpu.ac.jp/laboratory/hosya/index.html

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公開日: 2021-12-27  

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