研究課題/領域番号 |
20K08091
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研究機関 | 京都医療科学大学 |
研究代表者 |
松本 圭一 京都医療科学大学, 医療科学部, 准教授 (60393344)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | FDG-PET / 機械学習 / 画質自動判定 |
研究実績の概要 |
陽電子放射断層撮影(PET)とコンピュータ断層撮影(CT)を組み合わせたPET/CTは、18F-FDGを放射性医薬品として用いることにより、他の画像診断では得ることのできない生体内の糖代謝活性を画像化できる。また、Standardized Uptake Value(SUV)などの定量的指標を用いて腫瘍性疾患の診断、治療方針の決定、治療効果判定、新しい抗がん剤治療の治験なども行われるが、PETは測定原理上、装置や投与放射能量、待機時間や撮像時間、画像処理条件など多種多様な要因に依存して画質や定量的指標が異なる特徴を有しているため、学会主導で標準化が推進されている。 本研究では、わが国(JSNM)が定めたPET/CTの画質基準を普及させることを目的に、実測したPET/CTデータから機械学習用の膨大な教師データを作成する研究を行っている。本研究は、①実測PETデータを用いて多数の近似実測データを作成、②近似データと実測データとの相違を検討、③機械学習用の教師データを用いてPETの画質を自動判定、で実施予定である。 令和3年度は令和2年度に引き続きPETデータを収集し、集まった約1,100種類のPETデータについて提供いただいた専門知識を参考にして機会学習をスムーズに行うための前処置(画像位置合わせ等)を行った。また米国核医学・分子イメージング学会が学会員に公開しているPETのファントム画像自動解析ツール(Phantom Analysis Toolkit)の特徴について、デジタルファントムを用いて調査を行い、成果を関連学会で発表した。さらに、JSNMが定めている画質基準の改定に必要な根拠となる論文を作成し、欧米の画質基準と整合性の取れた新しい画質基準を定めていただく準備も整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)採択された論文を基に関連学会に働きかけ、画質基準改定を進めていただいている。 (2)収集した一部のPETデータについて再度実測する必要があり、ファントム入手後速やかに実施する予定である。 (3)集めたPETデータを用いて機械学習させる環境は構築済みであるため、新しい画質基準が定まれば、これまでに得た機械学習の注意点を考慮して最終年度の研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
(1)関連学会に働きかけて、欧米の画質基準と整合性の取れた我が国の画質基準を可及的速やかに検討していただく。 (2)集めたPETデータの画像情報を十分に活用して、PETの画質を自動判定できる機械学習を行っていく。 (3)集めたPETデータ数が膨大であるため、誤った機械学習させないように注意が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度の助成金のみでは高額なファントムを購入することができなかったため、令和4年度の助成金と合算してファントムを購入する。
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