研究課題
陽電子放射断層撮影(PET)とコンピュータ断層撮影(CT)を組み合わせたPET/CTは、[(18)F]-FDGを放射性医薬品として用いることにより、他の画像診断では得ることのできない生体内の糖代謝活性を画像化できる。また、Standardized Uptake Value(SUV)などの定量的指標を用いて腫瘍性疾患の診断、治療方針の決定、治療効果判定、新しい抗がん剤治療の治験なども行われるが、PETは測定原理上、装置や投与放射能量、待機時間や撮像時間、画像処理条件など多種多様な要因に依存して画質や定量的指標が異なる特徴を有しているため、学会主導で標準化が推進されている。本研究では、わが国(Japanese Society of Nuclear Medicine; JSNM)が定めたPET/CTの画質基準を普及させることを目的に、実測したPET/CTデータから機械学習用の膨大な教師データを作成する研究を行った。本研究当初の予定は、①実測PETデータを用いて多数の近似実測データを作成、②近似データと実測データとの相違を検討、③機械学習用の教師データを用いてPETの画質を自動判定、であった。研究の最終年度(2022年度)は追加でPETデータを収集しつつ、提供いただいた専門知識を考慮して、約1,200種類のPETデータを用いて機械学習するためのデータベースを構築した。また、別に採択された論文を根拠に、欧米の画質基準と整合性を取りつつ、かつより定量的指標の精度が高い画質基準の改定を働きかけた。現行基準でPET画像の画質自動判定を試行したが、わが国の画質基準改定が未だされていないため、新基準での機械学習および適切に画質判定できるか引き続き検討する必要があると考えられた。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
Annals of Nuclear Medicine
巻: 37 ページ: 108-120
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